ダンテ・アリギエーリ没後700年/『神曲』完成700年記念とボローニャ大学創立1000年を見据える
日伊芸術友好祭・ボローニャ市収蔵記念展会期終了開催報告
開会式(バラッカノ宮殿にて)
2022年11月23日
我々藝文協会はイタリア北部に位置するトスカーナ地方ボローニャ市にあるバラッカノ宮殿(エリザベッタ・ポッサディー美術館)にて開会式を行いました。
ボローニャ市サントステファノ区会長マリア・アモレヴォル女史(ボローニャ市や大学を含め統括する)にご来臨いただきました。
そして、ボローニャ大学芸術学部教授マリア・リタ・ベンティーニ女史と同大芸術学部教授パオラ・ヴァンニーニ女史にもご来臨いただきました。
初めに一般社団法人藝文協会赤尾信敏最高顧問からのご挨拶となります。
一般社団法人藝文協会 赤尾信敏最高顧問 挨拶(要約)
日伊芸術友好祭の開催に当たりまして、一般社団法人藝文協会を代表して一言ご挨拶を申し上げます。
先ず初めに、お忙しい中、本日の開会式にご出席くださいましたボローニャ市サントステファノ区会長マリア・アモレヴォル様、美術展に出展下さいましたボローニャ大学芸術学部の生徒の皆様、並びに日本から参加の美術家の皆様、そして今回の美術展の開催にご尽力下さいました関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
また、本日はたまたま授業のため、この場にお出で頂けませんでしたが、今回の美術展の監修を始め、日本での美術展や季刊誌bun−tenの企画、編集に日頃ご協力頂いているピエールジャコモ・ペトリオーリ博士に御礼申し上げたいと思います。
藝文協会 赤尾信敏最高顧問 挨拶
私ども藝文協会ではこれまでにシエナで3回(2009年、2015年、2019年)美術展を開催してきましたが、ボローニャでの開催は初めてです。ヨーロッパ最古の総合大学を誇り、芸術と大学の街といわれるボローニャにおいて開催できますことは、私どもにとりまして非常に光栄なことでございます。
この場をお借りして、私ども藝文協会の活動につきまして簡単に2点ご紹介申し上げたいと存じます。
第1に、藝文協会は2000年に設立され、本年8月には22周年を迎えたところです。
日本国内では日光東照宮や東京などでほぼ毎年開催してきております。
海外では、先ほど申し上げましたシエナのほか、タイを中心にしたアジア、欧州(イタリアの外、ロシア、ポルトガル、リトアニア、スウェーデン)、ハワイなどで開催して、各国との相互理解や友好協力関係の増進に努めてきております。
第2に、もう一つの活動の柱は、美術を通じた子供たちの教育、或いは学生たちとの交流です。
今回のような美術展開催の機会に、「子供ふれあいアートセッション」や「学生たちとのワークショップ」を開催してきております。
「子供ふれあいアートセッション」では、美術による教育を通じて、将来を担う子供たちの豊かな想像力や知的好奇心を育むことを目指しております。
今回は、明日、美術展の会場においてボローニャの学生たちとのワークショップの開催を予定しております。
今回の美術展を通じた皆様との交流を機に、日本とボローニャ、ひいてはイタリアとの友好協力関係が一層深まることを願う次第です。
ご清聴有難うございました。
続いて、ボローニャ市サントステファノ区マリア・アモレヴォル会長からご挨拶が成されました。
ボローニャ市サントステファノ区マリア・アモレヴォル会長挨拶
遠い日本からボローニャにお越しくださいまして皆さん心から感謝しております。
ボローニャのこのような美しい会場に日本の伝統的作品且つ現代美術が展示されたことを歓迎いたします。
そして、これが日本とボローニャの素晴らしい架け橋となることでしょう。
私たちサントステファノ区では毎年、日本とボローニャを結ぶ「ニップポップ」というフェスティバルが開催されております。このフェスティバルは美術や音楽、そしてイタリア語を学ぶプログラムが組み込まれております。
この美術展における交流をどうか美しい思い出として日本にお持ち帰りください。
私たちもこの交流を大切な思い出として持ち続けます。
ありがとうございました。
マリア会長には、その場で9名の日本美術家の皆様に「出展証明書」等の授与を行っていただきました。
次に藝文協会の石川文隆代表理事より閉幕のご挨拶が成されました。
一般社団法人藝文協会 代表理事 石川文隆 挨拶
ただいまご紹介いただきました藝文協会の石川でございます。
到着日翌日から冷たい雨がボローニャを包みましたが、皆様の忍耐強い心と体をもちまして、何とか寒い日を凌げました。
さらに晴れ男と晴れ女によって本日は快晴です。誠にありがとうございます。
11月20日から26日のツアーでございますので、元気で安全にご自宅までお帰りいただけるようお願いします。
また展覧会は2022年11月23日(水)~11月30日(水)の8日間で閉会となります。
明日はボローニャ大学の学生や教授への書家3名による書道パフォーマンスが披露され、その後に学生を中心に書作制作のワークショップが行われますので交流をお楽しみください。
そして、25日までのご観光もお楽しみいただきまして、帰路に着けることを心よりお祈りいたします。
最後にボローニャ大学芸術学部教授マリア・リタ・ベンティーニ女史と同大芸術学部教授パオラ・ヴァンニーニ女史からもご挨拶いただき、非常に友好的な時間がつくられました。
ボローニャ大学芸術学部教授マリア・リタ・ベンティーニ女史
ボローニャ大学芸術学部教授パオラ・ヴァンニーニ女史
書道パフォーマンス
11月24日
前述にもございましたが、この日は書家三名による書道パフォーマンス(席上揮毫)行われました。
次々と会場に訪れるイタリアの方々、相当のご観賞数がお集まりいただいたことを機に満を持して書道パフォーマンスが始められました。
先ず始めに藤澤珠玉氏。およそ半切ほどの紙を横に置きまして、横型紙面に縦書きの書で揮毫されました。
ボローニャ大学等の学生は、初めて見る書道パフォーマンスをじっくりと観賞していました。
「私のあたまにつのがあった つきあたって 折れて わかった」と書してあります。
自分では気づかなくとも相手に会って分かったということのようです。
藤澤珠玉氏揮毫中盤
橘芳玉氏揮毫中盤
続いて橘芳玉氏。
家紋入り半纏を纏い登場されました。
半纏は古来、仕事着として扱われていたのですが、祭半纏の登場により祭着として、今は知られています。
本展が「日伊芸術友好祭」というイベント名ですから、非常に合うお姿と思えました。
橘氏は揮毫に移り書家の本領を披露いたしました。
書した文字は「ふりそそぐ 夏の光に かをりたつ 黒土の香の なつかしきかな」と書しています。
黒土の香を懐かしむ思いは、やはり自然に幸福が宿っているという気持ちの表れかもしれません。
最後に小松惠仙氏。
非常に快活な人間味で、それが書作に現れているように感じます。
イタリア・ボローニャでの席上揮毫の殿しんがり、小松氏によるパフォーマンスが始まりました。
力強く濃い墨で書しておりますが、小松流破体とも言うべき、文字の筆画があり、何が書されるのかという思いが日本人の目には映ったことでしょうが、イタリア人の皆様には、筆の動きや小松氏の動きに引き込まれていくような感覚であったと思います。
紙面に浮かび上がった文字は「前進」。
天災である災害や人災とされるコロナ禍、そして経済の混迷に一歩でも前に進もうと呼びかける作家の言葉と考えました。
小松惠仙氏揮毫終了
ワークショップ
書道パフォーマンスを終えた三人の書家によるボローニャ大学や来場されたイタリア人に向けた東洋伝統文化である書道教室が行われました。
日本で教えるように手直しする藤澤氏
橘氏。特別生徒の内の二人と記念撮影(写真左側はペトリオーリ博士ご夫人)
小松氏、教室中の写真。(写真右側はペトリオーリ博士)
ペトリオーリ博士から日本美術家への感謝の言葉
ピエールジャコモ・ペトリオーリ博士
先ず、日本美術家の皆様にこころから感謝申し上げます。ここボローニャでは日本の芸術である書道のパフォーマンスはなかなか目にすることはできないので、このような貴重な機会を与えていただいて心から感謝いたします。
三人の書家の方々の書く書の芸術というものは文字を書くということだけではなく、心を映し出していると理解しています。
本日はボローニャを始めとしてイタリアの国すべてにこのような素晴らしい芸術を見せていただいてありがとうございます。
元フィレンツェ大学美術史教授、オレゴン大学(合衆国)シエナ校教授、ブラウン大学(合衆国)ボローニャ校教授
ボローニャツアー
2022年11月20日(日)
ボローニャ大学統括バラッカノ宮殿内エリザベッタ・ポッサディー美術館にて開催される美術展のため出展作家9名と同行者多数が、成田空港と関西国際空港に別れて、ボローニャに向かいました。
成田、関空よりそれぞれ出発し、乗り替え空港ドバイにて落ち合え、無事ボローニャ空港に21 日に到着しホテルにておやすみいただきました。
左の写真はボローニャ大学解剖室にて記念撮影を行ったツアー参加者。
手前に写る台は解剖される検体が置かれる場所とのこと。次に同じ建物内にある「スタバト・マーテルの間」に移りました。
ここはボローニャ大学元法学部講堂で歴史的書物が並ぶ普段は入室できない箇所です。
11月23日(月)ドッツァ観光
開会式同日午前に中世の雰囲気が漂う城壁の街に訪れました。
この街の魅力は歴史的建造物の壁に現代アートを描いたことにあります。
一行もご堪能されたかと思います。
11月24日(火) 国立ボローニャ絵画館見学
バラッカノ宮殿でのワークショップを終え、絵画館に移りました。
ここではペトリオーリ博士による作品解説をもとに鑑賞いただきました。
ボローニャ派絵画大作を解説するペトリオーリ博士
博士を囲んで記念撮影
※「日伊芸術友好祭」併設の「ボローニャ市収蔵記念展」につきましては、バラッカノ宮殿(エリザベッタ・ポッサディー美術館)に会期通り展示されましてボローニャ市への引き渡しが完了しております。
comube di Bologina にて展示の告知がされており、インターネットで情報を得て多くの方が来場されました。
昨年(2021)に逝去されたダニエーレ・サッソン教授作品特別展示
教授夫人からのメッセージ
親愛なる皆様、私は家庭の事情により、残念ながら展覧会のオープニングに参加することができなくなりました。ご招待いただいたことを光栄に思うとともに、夫であるダニエーレ・サッソンへの配慮に限りなく感謝しています。
彼はあなた方芸術家集団のことを高く評価し、本当に友人だと思っていました。個人的には、日本の文化を世界に発信しているあなたの作品作りがとても好きです。
将来、あなた方にお会いできることを願いつつ、ご健勝をお祈りいたします。
ベアトリーチェ・カペリ・サッソン
赤尾最高顧問と教授作品(中央)