活動内容
Activity

「日タイ交流美術展覧会」開催報告 開催報告

2013.11.21

日・ASEAN友好協力40周年事業認定 
タイ国立シラパコーン大学創立70周年記念

日・ASEAN友好協力40周年認定事業「日タイ交流美術展覧会」(以後:本展)は、2013年11月21日(木)から27日(水)の一週間、タイ王国ナコムパトム県にあるタイ国立シラパコーン大学アートセンター・サナムチャンドラ・アートギャラリー(以後:サナムチャンドラ・アートギャラリー)において開催された。 
本展は一般社団法人世界芸術文化交流会(以後:WAC)主催、国立シラパコーン大学アマリット・チュスワン芸術学部長監修によって日本とタイの美術作品の展示ほか、23日(土)には、訪タイした日本美術家による日本美術セミナーも開催されている。 

本展は日本ASEAN交流40年の節目にASEAN結成の声明が行われたタイ王国との美術による教育交流を主軸とした催事として開催され、展示総数は日本美術作品270点と国立シラパコーン大学教授などの代表作品9点を併せて279点にも上った。

奇しくも、その節目に国立シラパコーン大学(以後:同大)創立70周年が重なったことは本展にとって絶好のタイミングであったことは間違いなく、同大学生に対し日本美術作品鑑賞の機会を提供できたことも美術教育を提唱する本展にとって大変意義深いものになった。

チャトリ殿下による作品展観の模様

アートギャラリー前にてチャトリ殿下と日本美術家との記念撮影

本展の開催を祝してチャトリ殿下が開会式にご来臨された(写真左から2番目)

アマリット教授制作の日タイ交流美術展覧会参加者名碑モニュメント。
中央の赤は日本と太陽を意味している。
周囲にある美術家の名前がそれを包み込んで守っており、そして形状は鳥の巣をイメージし、親鳥が雛を育てることを示す。

訪タイツアー報告 一日目~開会式

2013年11月20日、WAC赤尾信敏最高顧問(以後:赤尾最高顧問)を一団の代表として、凡そ30名の本展ツアー参加者が日本を飛び立った。  
翌午前10時、ツアー参加者一行はバンコクから西へ凡そ65キロメートル離れたサナムチャンドラ・アートギャラリーに到着し、本展開会式に臨んだ。  
開会式は、タイ王室ではモム・チャオ(※)の位であるチャトリチャラーム・ユコン王子殿下(以後:チャトリ殿下)ご来臨のうえ、在タイ日本国大使館俵幸嗣一等書記官(以後:俵一等書記官)、タイ首相府パチャラポーン副事務総長や女性による社会貢献団体国際ゾンタ・クラブ・タイランドの役員など20名も現地来賓として臨席頂いた。  
 
初めに赤尾最高顧問から本展開催意義と開会の挨拶が為され、続いて俵一等書記官から祝辞を賜り、その後にチャトリ殿下から日タイ交流美術教育技能士のバッヂが授与され、続いて日本からの贈物として殿下からタイ側出席者に仏像が手渡された。  
  
※モム・チャオは、英語による敬称「H.S.H.」(ヒズ又はハー・セリーン・ハイネス)と同等とされ、モナコ公国のアルベール大公も「H.S.H.」を使用している。

赤尾信敏最高顧問(元在タイ日本国大使館特命全権大使)

俵 幸嗣一等書記官(在タイ日本国大使館)

二日目~日本美術家インラック・シナワトラ首相から歓迎!

予てから日本美術家の招待を望んでいたタイ首相府からの吉報を受けたのは、同展に伴う訪タイツアーを迎える一日前の同月19日夕刻である。  
電話の受話器からWAC常任理事アヌワット・ブーンニティー氏が声を弾ませ乍ら「決まりましたよ」の一言、それはWACが最も望んでいたインラック・シナワトラ首相(以後:インラック首相)が日本美術家を迎え入れることを意味していた。  
同月22日午前九時、日本美術家一行はタイ王国政府の中核である首相府に向かう。午前10時には首相府内の恐らくプレス・コンファレンスなどに使用されると思しき綺麗な調度家具が置かれた部屋に赤尾最高顧問を筆頭にWAC関係者と日本美術家(同行者含む)は待機した。 

凡そ、10分経ったころに待望のインラック首相が登場した。テレビニュース等では度々その姿を拝見するが、直に対面したのは初めてであり、整った容姿と理知的な雰囲気に魅了されたのは筆者ならずともそこに居た日本人全てがそう感じたに違いない。  

インラック首相は、日本美術家に軽く会釈をした後に赤尾最高顧問の隣の椅子に着席した。
凡そ40分ほどの英語による会話が為され、赤尾最高顧問は、招待へのお礼とこの度の訪タイの意図や日本とタイの美術交流が頻繁に行われていることを含めて、WACの活動について説明した。
そして、約一時間のタイ首相との会見が終了した。

首相に弊誌「bun-ten」が手渡された 

インラック首相と会談する赤尾顧問

インラック首相Facebook

タイ王国首相府公式HP 

三日目~シラパコーン大学に美術セミナー(ワークショップ含む)

同月23日、午前10時頃に日本美術家一行とWAC関係者がサナムチャンドラ・アートギャラリーに到着した。  

入り口付近には日タイ美術交流記念碑に参加した美術家の名前が記されたモニュメントが展示され、訪れた日本美術家がそれぞれに自分の名前を指差して記念撮影するなどで賑わった。  

午前11時頃、4テーブルにそれぞれ5名ほどの同大学生が着席し日本美術家のセミナーに参加した。  

日本の美術家たちは各々にワークショップ形式や質疑応答形式など個性的な方法で学生たちと触れ合った。凡そ一時間半で全行程は終了した。

同ギャラリーでの日本美術家によるセミナーは大いに賑わった

開会式挨拶及び祝辞要約

赤尾最高顧問開会式挨拶 

本日はチャトリチャラーム・ユコン殿下御臨席の下、本展開会式を執り行えますことは私どもにとりまして非常に光栄に存じます。そして首相府からパチャラポーン副事務総長、在タイ日本国大使館の俵一等書記官、タイの友人の方々にもご列席頂きまして、この場を借りて厚く御礼申し上げます。  
本展は日・ASEAN友好協力40周年事業の一環として開催されるものです。安倍首相は在任一年に満たない短期間にASEAN10ヶ国全てを訪問して、各国首脳との間でこれまでの友好協力関係をベースに更に発展させていくことを確認されました。これは日本のASEAN諸国重視姿勢の表れです。本年12月には安倍首相がASEAN10ヶ国の首脳を日本に招待して日本ASEAN首脳会議が開催される予定です。  
このような良好な日本ASEAN関係の中にあって、日本とタイの関係は特別と言えます。130年近い外交関係を通じて、皇室と王室の関係に始まり、政治、経済、文化、人的交流などあらゆる分野で緊密な友好協力関係が構築されております。  
本展は日本の美術界の第一線で活躍される先生方による市民レベルのものですが、このような民間レベルの活動が、既にある両国間の友好関係と相互理解の更なる増進に寄与することを願う次第です。  
最後になりますが、本展開催にご協力の上この立派な会場を提供下さいましたシラパコーン大学、後援下さいましたタイの政府機関など、また在タイ日本国大使館に深甚なる謝意を表明して私の挨拶と致します。 

在タイ日本国大使館 俵一等書記官祝辞 

チャトリチャラーム・ユコン王子殿下、WAC赤尾最高顧問、関係者の皆様、本日はシラパコーン大学アートギャラリーにおいて、「日タイ交流美術展覧会」が開催されることにお祝いを申し上げます。  
日本の文化人類学者梅棹忠夫(うめさおただお)さんは、「文明は『腹の足しになるもの』、文化は『心の足しになるもの』」と表現されました。  
日本の北海道で、脚本家の倉本聰(くらもとそう)さんが創った、自給自足の生活をしながら学ぶ「富良野塾」の学生に、「生きるために必要な物は何か」という質問をしたところ、①水、②火、③ナイフ、④食べ物、⑤着る物、・・⑭人という結果でありました。  
一方、東京の中心である渋谷の街で同じ質問をしたところ、①お金、②携帯電話、③テレビ、④車、⑤家という結果とのことです。  
日本はここ50年で大きな経済成長を遂げましたが、経済的豊かさと共に、生きることの価値や心の豊かさも大切にするべきだと感じます。  
タイの経済発展は目覚ましく、アジアや世界の経済を引っ張る存在になっています。経済成長を続けるタイの国において、芸術分野でトップレベルのシラパコーン大学で、今回のような「美術展」が開かれることは、意義が大きくまさに「心の足し」になるものだと思います。  
また、経済交流だけでなく、日タイの文化交流が盛んになることで、両国の友好関係はより強固になると確信しています。  
最後に、WACの方々をはじめ、「日タイ交流美術展覧会」の開催にご尽力いただいた方々に、改めて感謝を申し上げます。 

インラック首相の言葉 

2013年11月22日、午前9時30分、首相官邸サンティマイトリー棟シーファー室にて、世界芸術文化交流会赤尾信敏最高顧問及び世界芸術文化交流会は、インラック・シナワトラ総理大臣及び国防省大臣を表敬訪問した。  
インラック総理大臣は、世界芸術文化交流会最高顧問および世界芸術文化交流会を首相官邸に招待し、2013年6月、タイ国に対する真の友好の証として同会が総理大臣秘書局に200以上の芸術作品を移管したことに感謝の意を表した。  
ここで総理大臣は、シラパコーン大学芸術ギャラリーにて美術展覧会の開催が成功したことについて祝辞を述べ、展示会がタイ日間の相互理解推進と両国間の友情を強固なものとするために重要な役割を果たすものだと確信すると述べている。  
文化交流は、日本・タイおよび日本・アセアンの関係において重要な部分だとみなされている。
そのため総理大臣は、芸術家全員が友好関係推進と文化交流で重要な役割を担うことを願っている。 

会期

平成25年11月21日(木)~27日(水) 

会場

国立シラパコーン大学アートセンター・サナムチャンドラ・アートギャラリー 

主催

一般社団法人世界芸術文化交流会 

協力

国立シラパコーン大学アートセンター 

後援

タイ赤十字/タイ首相府/在タイ日本国大使館/タイ政府教育省/タイ政府外務省/タイ地球温暖化防止基金