活動内容
Activity

日葡東西文化芸術展 開催報告

2010.10.11

日葡東西文化芸術展 
出会い~友情~未来 1543~1860~2010 日本ポルトガル修好150周年記念認定事業

去る2010年10月、ポルトガル・リスボンに於いて『日葡東西文化芸術展』が開催された。 
同展には全国から様々なジャンルを代表する日本秀英美術家の作品が一堂に会し、外務省による日本・ポルトガル修好150周年認定事業の一環として両国の文化交流に大きく貢献し、展覧会は成功裡に閉幕した。

2010年10月1日(金)

夕刻6時30分、展覧会場であるオリエンテ財団東洋博物館一階ラウンジにて『日葡東西文化芸術展』オープニング・セレモニーが開催された。

本展を主催するWAC世界芸術文化交流会・赤尾信敏最高顧問(元在タイ日本国大使)率いる出展作家、講演作家一行17名が出席し、来賓に、オリエンテ財団副会長ジョアン・ロドリゲス・カルヴァン氏、博物館長マリア・マヌエラ・ドリベイラ・マルティンス氏、国立リスボン大学芸術学部長ルイス・ジョルジュ・ゴンサルベス氏らや出展協力を頂いた現地ポルトガル版画家協会Água-Forte会長ファティマ・フェレイラ氏を迎えたほか、会場には凡そ150名の来場者が訪れ多くの賑わいを見せた。  

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書道に挑戦するマルティンス館長と手ほどきする赤塚暁月氏

マルティンス館長を先頭に展覧会場の内覧が行われた 

国立リスボン大学芸術学部長ルイス・ジョルジュ・ゴンサルベス氏、オリエンテ財団副会長ジョアン・ロドリゲス・カルヴァン氏、最後に在ポルトガル日本大使館臨代大使新井辰夫公使にご祝辞を賜ったのに対し、WACを代表して赤尾信敏最高顧問から本展の開催意義、また来賓並びに来場者に対して謝辞が述べられた。  
その後、鏡割りにて日本酒が振る舞われ、現地ワインの試飲会など食文化の交流デモンストレーションに引き続いて、東洋(オリエンテ)博物館から日本、ポルトガル両国の出展作家に出展証明書が授与された。
マルティンス館長からひとりずつ手渡しで証明書が授与される様子は記念撮影され、会場は笑顔と拍手に満ちて式典はいよいよ活況を呈し、続いてWAC世界芸術文化交流会東京支局長から博物館への収蔵作品の目録が手渡されると、マルティンス館長から謝辞が述べられた。  
式典終焉には書家・赤塚暁月氏による席上揮毫が行われ、『葡萄美酒』という鮮やかで力強い筆致が披露された。
マルティンス館長も筆を執り文字を書くなど、ショートタイムの書道教室が特設され、まさに文化交流を象徴する和やかな雰囲気の中、式典は滞りなく幕を閉じた。

2010年10月2日(土)

はじめに書道、水墨、絵画と多才な宮﨑敏子先生より作品制作の説明が行われた。
用意されているのは赤、青、黄、白の4種類の水彩絵の具と筆である。色彩を増やすには多くの組み合わせが考えられる。

子供たちと美術家が大きな紙面にそれぞれの意思で作画しバズセッションするという具合である。
何ができるかは誰にもわからない。
筆を使う子、手を使う子自由な手法で作画されてゆく。
衣服が絵の具で汚れるほどのエネルギッシュな色彩による色のぶつかり合いは、反って大きな紙面をバランスよく彩り、愉しく力強い作品となって完成を見た。

絵の具による子供たちの衣服や身体の汚れの後始末はさぞかし大変だろうと思われた。
芸術に理解あるこの度の参加者の父兄に感謝!午前10時、オリエンテ博物館Sala Tóquio(=Tokyo室名・東京の間)にて、子供とのアートセッションが開催された。

本件は世界芸術文化交流会がテーマに掲げる一つ、美術による社会教育の一環として主催美術展では毎回行われている行事である。

今回は、ポルトガルのサッカー教室の子供たちが集まってくれた。文化とスポーツは共に姉妹兄弟の間柄として、多くの国で文化とスポーツを同枠に収めている関係から、オリエンテ博物館に招待された子供たちである。

同日午後3時、次なる催しは国立リスボン大学での日本美術教室である。
講師となった日本美術家は書家3名、工芸家4名。
集まった学生はそれぞれの教室に20名以上となり、7つの教室で凡そ3時間にわたる講義が行われた。

最後に記念撮影が行われ、ポルトガルにおける『美術による社会教育』は終えられた。  
  
参加した学生たちは熱心に日本美術家講師陣の話に耳を傾け、さらに体験実習が始まると積極的に参加して、3時間の講義時間はあっというまに経ち、終焉を迎えた。教室には芸術学部長ルイス・ジョルジュ・ゴンサルベス博士も臨席、日本美術家の講義を興味深げに傍聴する姿が印象的だった。

オープニング・セレモニーでの会食の様子

来賓祝辞と主催者の挨拶

リスボン大学芸術学部長
ルイス・ジョルジュ・ゴンサルベス氏

私は、日本とポルトガルの芸術を通した友好関係を非常に大事なものと思っています。
今から450年前に出会った。
両民族、一時期長いこと関係が途絶えていた時代もありましたが、近年になってそれが復興し、再度出会ったといえるかもしれません。
それから既に150年になります。  

旧世界の西の端にあるポルトガルと、東の端にある日本。
この両国が最初に出会い、それが元になって両国の文化交流が始まったことは、非常に興味深い事実であり、歴史上の重要な出来事でもあると思っています。

本日、このような式典に参加させて頂きまして非常に嬉しく思っております。

オリエンテ財団副会長
ジョアン・ロドリゲス・カルヴァン氏

このような芸術を通じた国際交流はそれぞれの文化をより充実させるものであり、非常に意義深いことであります。  

特にこの場をお借りしてお礼申し上げたいのが、この度の交流に共感して頂いた日本芸術家の皆様方より作品を寄贈して頂いたという事で、これでこの美術館の収蔵作品も、より充実したものになります。  
世界の国々は、こうした洋の東西の文化交流を活発にし、これからもより緊密な関係を築いていくべきだと思います。

オリエンテ財団を代表して、皆様に心よりお礼を申し上げます。

在ポルトガル日本大使館臨代大使
新井辰夫公使

ポルトガルの人々も最近だんだんと、例えば食文化を通じてとか、色々な面で日本文化に触れる機会が多くなってきています。

こちらでも「お寿司」は非常に人気のある食べ物です。
あとは、アニメや漫画など、こういったものを通じて日本文化に触れる機会が多くなっています。

今回の文化交流を通じて、皆様方、作品を展示した先生方、そして現地の先生方ともこれから交流を深めていただけたら良いと思います。

WAC世界芸術文化交流会
赤尾信敏最高顧問

WACは、多様な文化・民族が共存する世界において、芸術文化活動を通じて相互理解と信頼を深めるという目的で設立され、これまで日本、東南アジア、ヨーロッパの一部において、芸術文化交流活動に従事してまいりました。
創立から10周年という節目の今年が、日ポ修好150年という記念すべき年にあたり、ここリスボンで展覧会を開けます事を、非常に光栄かつ喜ばしく思います。  

日ポ両国は、地図上の最東端と最西端、非常に遠い国でありますが、450年という非常に長い交易・交友の歴史があります。
そして、本年行われている150周年記念事業を通じて、両国の交流、あるいは相互理解はますます深まっていると思います。  

在ポルトガル日本大使館、特にオリエンテ財団、リスボン大学芸術学部の皆様には非常にお世話になりました。
また、展示に参加して頂いたポルトガル版画協会の皆様にもこの場をお借りし、深く感謝の意を表したいと思います。

2010年10月4日 (月)

午前10時より、SOTAワイナリーにおいて、芸術ワイン騎士団任命式典が行われた。  

式典は初めにSOTA代表取締役ヌーノ・カルヴァーリョ氏の挨拶に始まり、赤尾信敏WAC最高顧問からの謝辞、続いてカルヴァーリョ氏から認定芸術家11名へ芸術ワイン騎士団バッジと任命書の授与が行われ、騎士団によるワイン試飲が行われた。

SOTAワイナリー代表取締役ヌーノ・カルヴァーリョ氏挨拶

ヌーノ・カルヴァーリョ氏

本日は日本の芸術家の皆様にお越し頂き私どものワインを試飲して頂くばかりでなく、ラベル制作にご協力頂いた日本芸術家の皆様に、芸術ワイン騎士団任命を行えたというこの非常な栄誉を誇りに感じるとともに、少しばかり面映くも感じている次第です。  

本年は日・ポ修好150周年とのことですが、実は偶然にもこのダマセーノワインを造っているぶどう畑が私たちファミリーの手に渡って、約150年になります。
そしてダマセーノワインと呼ばれるこのワインは、誕生から10年ほどになり、先ほどお聞きしたところWACが芸術による国際交流活動に歩みを進めてきた期間とほぼ一致します。
そしてまた、私共SOTAはヨーロッパだけでなくアジアを含む世界約10カ国にワインを輸出しておりますが、非常に興味深いことに、一番最初に輸出したのが日本なのです。  

ポルトガルと日本とは、洋の東西を分けた国としては互いに初めて出会った歴史を有しております。その歴史と符合する偶然に、不思議な縁を感じる次第です。  

ワインは“飲む芸術作品”と呼ばれます。
芸術家の皆様にはワインを以て、その創作意欲により一層の火を点して頂くことを期待致します。

WAC赤尾信敏最高顧問挨拶

SOTAワインの最初の輸出国が日本であるとのお話がありましたが、先ほどお聞きしたところでは、日本との関係はもっと深いものがありそうです。

私も日本国大使としてタイに居たことがありますが、(代表の) 叔父様がタイの駐在大使をなされていて、その後1990年代には日本駐在大使をなさっておられたとのことで、そういった点でも日本との関わりの深い会社であり、ご家族であると言えるでしょう。

ワインと芸術との関係をお話し致しますと、私はヨーロッパには5年ほどいたことがございますが、仏・ボルドーの5大シャトーのひとつ『シャトー・ムートン・ロスシルド』のヴィンテージワインは、毎年異なるアーティストがラベルのアートワークを手がけることで知られておりまして、1945年よりこれまでに、ジョルジュ・ブラック、サルヴァドール・ダリ、ジョアン・ミロ、マルク・シャガール、パブロ・ピカソ、アンディ・ウォーホル、キース・ヘリング、バルテュス、などそうそうたるアーティストが名を連ねていることは、夙に有名であります。

先ほどお伺いしましたところ、ダマセーノのワインラベルに芸術作品を使うのは初めてのことだそうですが、これを機にSOTAワイナリーと日本芸術家、ひいてはポルトガルと日本、両国の関係が益々深まることを祈念致しまして私の挨拶とさせていただきます。

日葡東西文化芸術展 

会場

東洋博物館 (オリエンテ財団) 

会期

2010年10月1日(金) ~ 10日(日) 

主催

WAC世界芸術文化交流会 

後援

在ポルトガル日本大使館/在日本ポルトガル大使館/社団法人日本ポルトガル協会 

協力

オリエンテ財団/国立リスボン大学/SOTA (ワイナリー)