徳川家康公生誕四八〇年記念
日光東照宮美術展覧会 芸術の虎展・未来の力展開催報告
去る令和4年11月5日(土)から11月9日(水)まで徳川家康を御祭神に奉る東照宮の総本山日光東照宮にて日光東照宮御祭神徳川家康公(寅年)生誕四八○年記念「芸術の虎」展と併設「未来(みき)の力」展が開催された。
「芸術の虎」展は有名な丹下健三氏による設計デザインで建築された「客殿」で行われ、日本美術作品は203点にも及んだ。
内訳は、洋画55点、赤尾最高顧問を含み写真4点、日本画18点、水墨画14点、彫刻3点、工芸42点、書67点、俳句1点。
また、「未来の力」展では、国宝東小詰において、徳川家御免酒「男山」のアートラベル起用作品ボトル展示を行った。展示数は全100本、内訳としては、洋画24点、写真4点、日本画6点、水墨画7点、彫刻1点、工芸23点、書36点、俳句1点。
拝観者は延べ4万2千人にのぼった。紅葉のシーズンもあり、コロナ禍前の賑わいとなった。
令和4年11月5日
日光東照宮武徳殿において、「芸術の虎」展の開会式典が行われた。
始めに湯澤一郎権宮司様より開会のご挨拶とご出展芸術家の皆様などへの御礼を述べられた。
次に在アメリカ特命全権公使、国連大使、在タイ王国日本国特命全権大使、そして国際機関日本アセアンセンター事務総長を経て当会の最高顧問にご就任頂いた赤尾信敏最高顧問によるご挨拶がなされた。
さらに、書の専門誌「墨」の編集長を長年勤めておられた、宗像克元東洋芸術顧問にも、本展を鑑賞しての感想を頂戴した。
令和4年11月6日
二日目、「未来の力」展の表彰式が行われた。
稲葉久雄宮司様におかれては、徳川家御免酒である御神酒のアートラベル、並びに日本の美術作品鑑賞については大層お喜びになられていた。
また、平成の間(天皇皇后や皇室のお控室)で日光東照宮の24金箔仕立ての金杯が、稲葉宮司より「未来の力」展出展者に授与された。
湯澤一郎権宮司
以下、「芸術の虎」展及び「未来の力」展でのご挨拶をここに紹介する。
「芸術の虎」展 挨拶
湯澤一郎権宮司 挨拶
本日は日光東照宮と一般社団法人藝文協会との共催美術展覧会「芸術の虎」展の開催、並びに大勢の美術家の先生方にご来訪いただきましたこと、厚く御礼申し上げます。
また、本美術展を共催頂きました藝文協会の最高顧問赤尾信敏様、代表理事の石川文隆様、東洋芸術顧問宗像克元様には大変ご多用の所、ご臨席を賜り心から感謝申し上げます。
これまで日本を代表する美術作家の先生方のご奇特なお志と存じます。
ご関係の皆様のたゆまぬご助力、ご尽力によって支えられてきたこれら美術展をはじめとする美術文化普及事業は今日当宮にとって大変有意義な文化的事業活動となっております。
日光東照宮御祭神徳川家康公がこの世に生を受けられた天文11年より数えて四八〇年の節目となる壬寅の今年、7回目となる美術展覧会「芸術の虎」展の式典がここ東照宮武徳殿において、かくも盛大に開催できますこと、当宮としても大変嬉しく存じますとともに、家康公もご自身の干支「寅」に因んだ美術展をさぞお慶びになられていることでありましょう。
一向に収束を見ない新型ウィルスの感染症によって人々の心は焦燥し、ロシア・ウクライナ間の軍事闘争や北朝鮮によるミサイル発射の暴挙など不安定な世界情勢に、天下泰平の実現に砕心された徳川家康公の生き様は今まさに注目されております。
本日お集まり下さりました先生方には家康公が掲げたこの天下泰平の思いに通じる美術展「芸術の虎」展の趣旨にご賛同賜り200有余点におよぶ多数の秀作をご出品頂きましたことに衷心より感謝申し上げる次第です。
先生方それぞれのお心のこもった作品は鑑賞される多くの人たちの心を必ずや癒すものとなるでしょう。
当宮がこうした意味深い事業を推進できますことはまさに斯界第一線で御活躍されている美術作家の先生方の御理解があってこそです。
どうぞ今後とも温かいご支援を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
本展覧会にご出展くださった先生方に重ねて謝意を表し、ご関係の皆様のご健勝と発展を祈念してご挨拶にかえさせて頂きます。
ありがとうございました。
藝文協会最高顧問 赤尾信敏 挨拶
只今ご紹介に与りました一般社団法人藝文協会の赤尾でございます。
日光東照宮美術展覧会「芸術の虎」展の開会に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
先ず、最初に本年もまた日光東照宮様との共催により、このような美術展を開催できますことは私どもにとりまして非常に光栄なことであります。
この場をお借りして、湯沢一郎権宮司様を通じて厚く御礼申し上げます。
また、本日ご列席の美術家の先生方には、今回の美術展に出展頂くとともに、コロナ禍の第6波もなかなか収まらない中、本日の開会式にご出席下さいまして誠に有難うございます。
本展は天下泰平を唱え、美を愛した徳川家康公の生誕四八〇年を本年に迎え、寅年に因んで「芸術の虎」展と名付けました。
先生方におかれましては「芸術の虎」となり、名作をご展示頂くことになります。
この機会に、日光東照宮様と私達との関係に簡単に触れさせて頂きたいと存じます。
私たちにとりまして、日光東照宮での美術展開催は東日本大震災の復興祈願と支援を目的に、客殿をお借りして2013年春に開催したことに始まりますが、その後も2015年には四百年式年大祭、さらに翌年の御鎮座四百年祭への参加を始めとした美術展の開催、季刊誌「文化展望」での企画、また美術展参加の美術家から奉納された作品の日光市内小中学校や福祉施設等への貸与式など、ほぼ毎年のように各種企画を実施させて頂いてきております。
藝文協会ではこの22年間日本国内及び海外において美術展を開催し、各国美術家などとの交流を通じた相互理解の増進や世界平和への貢献、「子供ふれあいアートセッション」を通じた情操教育の推進を活動の柱として行ってきております。
今回の美術展に際しましても、コロナ禍の中「子供ふれあいアートセッション」は見送りましたが、日本全国より選ばれた子供たちの作品展示を行っております。
海外での交流は、これまでタイ、マレーシア、ロシア、イタリア、ポルトガル、リトアニア、ハワイなどで実施してきております。
海外は、コロナ禍による制約もあり、2019年秋のシエナ(伊)を最後に控えておりましたが、今月下旬にはボローニャ(伊)での開催を予定しております。
明年以降もタイなどを含めて開催を検討しておりますので、先生方のご協力を是非ともお願いしたいと思う次第です。
ご清聴有難うございました。
赤尾信敏最高顧問 挨拶
藝文協会東洋芸術顧問 宗像克元 挨拶
只今ご紹介に与りました藝文協会東洋芸術顧問の宗像克元です。
先程ご紹介頂いたように書道雑誌「墨」の編集長をおよそ20年にわたり勤め、その後美術年鑑社新美術新聞の編集部、記者として10年、展覧会を回り作品上達の記事を書いてきました。
今回の「芸術の虎」展でありますが、私自身も五黄の寅で、今年で72歳になりました。自分でもびっくりするほど歳をとったと思いますが、今はおかげさまで自由な立場で作品を鑑賞し、また「文化展望」で作品評を行い、私にとっても大事な仕事とさせて頂いております。
歳をとって一番自分の中で成長したと思うのは、一点一点の作品を見て、鑑賞すると同時に自分の心の目を通して作品と会話をするというような、先入観を一切抜きにした鑑賞が少しずつできるようになったかと思います。
本日も沢山の素晴らしい作品を鑑賞でき、新たな評論を書く気力が沸いてきました。
また藝文協会さんの方で、この会場で見た記憶を再生し、その時の心具合を反芻しながら文章をまとめてみたいと思います
宗像克元東洋芸術顧問 挨拶
やはり改めて思うのは、芸術の力というのは人生を豊かにするということです。
単に作家自身の心を豊かにするだけではなく、それを鑑賞する、会話をする人たちの心も豊かにする、大変に立派な仕事だと思います。
そうした「芸術」の中で、微力ではありますが一事を成すことができて、自分は本当に幸せな人間だと思っております。
私事を述べましたが、今後とも皆様のご活躍をお祈り申し上げます。
藝文協会代表理事 石川文隆 挨拶
ご紹介に与りました藝文協会代表理事の石川でございます。本日は沢山の美術家、ご同行者の皆様がお越し下さいましたことに厚く御礼申し上げます。
また、ご祝電を賜りました栃木県知事様、日光市長様、そして県外ではございますが茨城県衆議院議員様、茨城県議会議員様に心より御礼申し上げます。
そして、日光東照宮様には今一度厚く御礼申し上げます。更に当会最高顧問赤尾信敏様、東洋芸術顧問宗像克元様にも感謝申し上げる次第です。
本展は200点以上の展示が行われまして、子供作品も展示され、老若作品がご覧いただけると思います。
美術家の皆様の協力に大変感謝します。
「芸術の虎」展会場の様子
芸術の虎「子供作品」展示風景
「未来(みき)の力」展挨拶
稲葉久雄宮司 挨拶
稲葉久雄宮司 挨拶
当宮御祭神徳川家康公生誕四八〇年を奉祝する記念酒の展示会「未来の力」展にご参画頂いた先生方にはそれぞれのお気持ちのこもった御神酒のアートラベルを制作されご出品下さいましたことを心から深く感謝申し上げます。
昨日、東照宮武徳殿において開会式展が行われ、当宮の客殿を会場に始まった「芸術の虎」展と同時に開催された「未来の力」展ですが、本企画は、コロナ禍などを超える自然災害あるいは人為的な紛争など、全世界が打ち砕かれたような思いをしている昨今ではありますが、御神酒と未来の「みき」をかけて明るい未来を切り開くべく御神酒のアートラベルという手段を用いて、様々なジャンルの作品を融合させた大変ユニークな企画であると思っております。
採用された御神酒に用いた清酒は前回の「未来の力」展と同様、北海道の男山株式会社の銘酒「男山」でございます。
この男山は実は元々当宮と非常に関わりの深い蔵元でございます。
男山は江戸時代徳川幕府の御免酒と呼ばれまして、江戸に暮らす人々の間にも大変人気を博した銘酒であったとのこと。
そしてまた男山の名称は日本酒の代名詞と呼ばれる数少ない清酒のひとつと言われております。こうした事を考えますと結果的に今回の「未来の力」展に用いるのに相応しい清酒である御神酒には男山以外にはあり得なかったのではないかと不思議な感じを覚えました。
今回の企画は本日この式典にご臨席を頂いております先生方をはじめ、本趣旨にご賛同くださるアートラベルを制作いただいた先生方のそれぞれの未来の御神酒が相まって実現した「未来の力」展は御祭神徳川家康公生誕四八〇年記念の双璧企画として多くの人々に感銘を与えるものと確信致しております。
藝文協会最高顧問 赤尾信敏 挨拶
只今ご紹介に与りました一般社団法人藝文協会の赤尾でございます。
「未来の力」展芸術奉納、世界平和祈願、金杯授与式を日光東照宮と共催できますことは、私どもにとりまして非常に光栄なことであります。この場をお借りして、稲葉宮司様に心から感謝申し上げます。
また、美術家の先生方には、この展示会に出展頂くとともに、コロナ禍第6波が中々収束しない中、本日の式典にご参加下さいまして誠に有難うございます。
また、この展示会の実現に協力くださいました男山株式会社様に厚く御礼申し上げます。
日光東照宮と藝文協会との芸術文化分野における関係は東日本大震災復興祈願及び支援を目的に2013年に開かれた美術展に遡ります。
以来五回の美術展が共催され、今回が七回目の美術展になりました。
今回の「未来の力」展は家康公の生誕四八〇周年に開かれるもので、家康公が目指した天下泰平に因んで行われるものです。
この展示会に参加いただいた芸術家の皆様も世界平和を熱望しておられることは間違いなく、日光東照宮はこの度の企画に大いに賛同しておられます。この企画にご参加頂いた先生方には心から感謝しております。
当藝文協会は、2000年の設立以来、これまで22年間にわたって日本内外において活動してきておりますところ、外国ではタイ、マレーシア、イタリア、ロシア、リトアニア、ハワイなどで美術展を開催して、日本の美術家とこれら諸国の方々との交流を通じ、相互理解と友好親善の促進に努めてきております。
コロナのため、海外では2019年秋のシエナでの美術展を最後に中断しておりましたが、本年11月下旬にはボローニャでの美術展開催に向けて準備中です。
明年においても、タイなどでの開催を検討しておりますので、皆様のご参加とご協力を得られれば幸いでございます。
さて、ワイン・ラベルで世界的に有名かつ評判の良いのはボルドー(仏)の5大ワイン・メーカーの一つ、シャトー・ムートン・ロートシルドです。
この会社は、第2次世界大戦終戦の1945年から毎年有名画家などの作品をラベルに使っており、その中にはピカソ、チャールス皇太子(2004)等々、日本人ではせつ子(1991)があります。
私ども藝文協会におきましては、日本ポルトガル修好150周年(2010)を記念してワイン・ラベルを作りました。
海外での和食への関心の高まりから、日本酒の消費、輸出も増大傾向がみられ、今後も増加が期待されます。ご清聴有難うございました。
「未来の力」展示風景