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文展特報
日光東照宮奉納美術作品永代貸与式

2020.06.12

恒久平和を目指し永代貸与事業を不要不急とせず敢行 

平成最後の日光東照宮開催美術展「平成展」出品奉納作品が日光東照宮推進の永代貸与事業を通じて日光市内と栃木県内の公共、教育、福祉施設に常設。

一般社団法人藝文協会赤尾信敏最高顧問

令和2年5月12日、すでに緊急事態宣言が発効のなか日光東照宮客殿において2020年度の日光東照宮奉納美術作品永代貸与式(以後:永代貸与式)が敢行された。
永代貸与は、日光東照宮に奉納された現代日本美術家の秀逸作品が永代的に日光市始め市内の公共、教育、福祉施設と栃木県内の福祉施設に貸与されるものである。
 
芸術家の平和への祈りが込められた美術作品を各施設に貸与してゆくことは、平和な社会を創ることを目的とした美術による社会貢献の実践であることはまちがいない。
また、今回の貸与作品は、去る平成30年9月に日光東照宮が藝文協会と共催した企画日光東照宮奉納美術展覧会「平成」(以後:「平成展」)で奉納された作品の一部となっている。  
永代貸与式当時は日光東照宮が拝観中止としていたこともあり、それによって密な空間を作ることなく、関係者のみで式典を行うことができた。 
 
そして、同宮は本事業が「不要不急」ではないものとし、新たな元号の世を更に平和にし、今日訪れた稀代の疫病終息への祈りを込めた永代貸与式が行われた。 
 
この度、「文展特報」では、その模様を報じ、美術家が平和への祈りを込めた秀逸作品による社会貢献活動を賛辞し、作品図版と作家コメントを掲載し、紹介する。 
 
はじめに、「平成展」を日光東照宮と共催した一般社団法人藝文協会(開催時は世界芸術文化交流会)赤尾信敏最高顧問(以後:赤尾最高顧問)より開会の挨拶がおこなわれた。 
 
赤尾最高顧問は、ジュネーブ国連大使、ウィーン国連大使、在アメリカ合衆国日本国特命全権公使、在タイ日本国特命全権大使など歴任されるほか、90年代末頃のガット・ウルグアイラウンドの主席交渉官として見事に通商交渉を成功された元外務官僚で現在は藝文協会の最高顧問となっている。

赤尾最高顧問:各施設の代わりに貸与される

赤尾最高顧問挨拶の後に永代貸与が行われた。
貸与作品は、洋画、日本画、水墨画、工芸、書道、文芸の6ジャンルで構成され、計49点が一点ずつ、湯澤一郎権宮司(稲葉久雄宮司代理として)から、各施設の代わりに藝文協会赤尾最高顧問が受け取るという形で式典がすすめられた。 
 
これまで行った永代貸与式は今回を含め3回となるが、やはり日光市の来賓や貸与される側の各施設の代表者が出席しない式典は少々盛り上がりに欠けるものの東照宮という神聖な場所で行われることによって厳粛なムードが漂っていた。
こうした異種独特の式典ではあったが、地元新聞社の下野新聞社様が取材に訪れていただき、少なからずともメディアが取り上げて報じられたことはまちがいない。 
 
次に令和2年「日光東照宮奉納芸術永代貸与式」主催の日光東照宮湯澤権宮司から永代貸与事業の概要と美術作品奉納の経緯説明があった。  
 
湯澤権宮司は、当日を迎える前に緊急事態宣言発効のなかであっても、御祭神東照大権現徳川家康公が天下泰平の世の礎を築いたことに肖り、神に平和希求の祈りを捧げることは不要不急にあたらないとコメントしており、感無量の面持ちであるように窺えた。
そして、式典は無事終了した。

日光東照宮湯澤一郎権宮司

赤尾最高顧問 挨拶(要約)

今回は新型コロナウィルス拡散防止の観点から私どもが代表してお受け取りをして、のちほど各施設にお届けする形になったと理解します。参加を楽しみにされていた芸術作品奉納作家には追って藝文協会から式典の模様をご報告させて頂くこととなります。本企画にご賛同下さいました美術家の皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。 
 
一般社団法人藝文協会は2000年に発足、本年に設立20年を迎えました。
この間、関係各位のご協力の下、国内外における美術展の開催や各国美術家との交流を通じた相互理解の増進と世界平和への貢献、「子供ふれあいセッション」など情操教育の推進を活動の重要な柱として行ってきました。 
 
日光東照宮との関係は2013年に東日本大震災復興支援目的の美術展を客殿で開催したことに遡ります。 
このご縁以後、2015年の四百年式年大祭に際した美術展「真秀」の共催、2017年の「陽明門」平成の大修理竣功奉祝行事としての美術展共催、永代貸与式など年数回のペースで事業を共催及び協力させて頂いております。
今後とも引き続き機会を賜れば、光栄に思う次第です。 
よろしくお願い申し上げます。

湯澤権宮司永代貸与の説明(要約)

当宮奉納美術作品永代貸与事業は御祭神徳川家康公の平和思想を題し平和への祈りを込めて創作した現代日本美術家の奉納作品を有効に役立てるため未来を担う日光市内の小中学校の子供達、あるいは日頃から当宮をご崇敬いただいております日光市民の方々に幅広く美術鑑賞を楽しんでいただくことを目的としています。 
 
第一回の永代貸与式につきましては、平成29年6月3日当宮客殿で開催いたしました。
東日本大地震復興美術展覧会「咲笑(さくら)」(平成25年芸文協会共催)、日光東照宮四百年式年大祭特別奉納行事天下太平祈願日本芸術美術展覧会「真秀(まほら)」(平成27年藝文協会共催)でございます。
御鎮座四百年記念の芸術鼎談、芸術対談、芸術奉納「玉響の祈り」4企画にて奉納された各種美術作品110点超の作品を日光市の教育機関、公共施設、福祉施設などに貸与し常設展示いただきました。 
 
第二回の永代貸与式は陽明門平成の大修理竣功奉祝美術展覧会「萌志(きざし)」の展示作品109点が平成30年7月2日に客殿で開催され、ご出席は18名の奉納美術作家、日光市、他図書館や福祉施設6施設、26の小中学校に手渡されました。 
 
第三回目の永代貸与式は本日、平成30年9月8日から11日まで客殿で開催された日光東照宮奉納美術展覧会「平成」に出展された国内芸術家による各種美術品104点のうち49点が市内公共、福祉施設三箇所、小中学校8校に永代貸与することとなりました。 
 
また本式典において「平成展」の特別奉納作家23名(本企画に図版掲載)に対し、奉納美術作品永代貸与事業「令和社会貢献之証の授与」を併せて行いました。 
 
尚、今回の永代貸与式は新型コロナウイルス感染症の拡大情勢から参加者の健康と安全に配慮し、主催の東照宮と運営・協力者の一般社団法人藝文協会の関係の方代行による作品受け渡し形式でセレモニーを行いました。 
 
尚、作品は時期をみて追って後日各団体へお届けすることになります。

令和2年 永代貸与先一覧

 特別養護老人ホーム
きびたき荘様
 社会福祉法人
関記念 栃の木会様
 特別養護老人ホーム
きびたき荘様
 特別養護老人ホーム
大室さくら苑様
 日光市立
小来川小中学校様
 日光市立
清滝小学校様
 日光市立
南原小学校様
 日光市立
日光小学校様

令和2年5月12日

日光市立日光小学校様訪問 

第一回、第二回永代貸与作品展示の前で。 

日光小学校黒澤守校長(写真中央)自らが、 藝文協会赤尾最高顧問(写真左)、同会代表理事石川を校内展示案内。