活動内容
Activity

日光東照宮境内建造物八棟国宝指定七十周年記念
日光東照宮美術展覧会 芸術神来楽展・未来の力展 開催報告

令和3年7月24日(土)から28日(水)の5日間、日光東照宮国宝東廻廊及び東小詰、そして東京都庁の設計者で文化勲章、レジオンドヌール勲章(フランス)受章者の丹下健三設計の客殿にて日光東照宮境内建造物八棟国宝指定70周年記念日光東照宮美術展覧会「芸術神来楽展」並びに日本美術作品が日本酒ラベルに起用された「未来の力展」が開催された。

「芸術神来楽展」には日本全国から選抜された洋画、日本画、水墨画、彫刻、工芸、書等の作品が297点、「未来の力展」は101ボトル、そして子ども作品による平和祈願展「日光東照宮の国宝、霊獣を描こう」は国内の子どもたちの力作70点、計468点の美術が披露された。 

客殿展示風景一部

また、コロナ禍の開催ではあったが会期5日間の参拝者は1万9千名を越え、徹底したコロナ対策の結果、感染者を1人も出すことなく無事全日程を終了した。 
また、コロナ禍によって日光東照宮のほとんどの年中行事が中止される中、本展覧会を開催できたことは御祭神徳川家康公の平和理念が導き出し、その御威光に寄り添い「芸術神来楽展」と「未来の力展」を不要不急としないとして、ご英断された稲葉久雄宮司を筆頭に神職の方々の深いご理解ご協力の結果と感謝したい。

子供ふれあいアートセッション

7月24日(土)

午前11時、客殿前広場にて本展最初のイベントとして幼稚園、保育園児から中学生まで7名の子どもたちと12名の出展作家による「子供ふれあいアートセッション」が開催された。
  
このイベントは、大きな模造紙に、一線級の日本美術家と子供達が協力して作品を描いていくもので、国内外の子供達の情操を育むことを目的に藝文協会創設以来行ってきた。 

洋画家潮來永子氏によって『未来』を想像して自由に描くというテーマが発表され、勢いよく子供達が描き始め、瞬く間に白い紙面に色鮮やかな「未来」が描き出された。最後に子供達へ参加賞の授与が行われ終了した。

洋画家 潮來永子氏によるテーマ発表

完成した作品と記念撮影

芸術奉納之儀 開会式(授与式含む)

同日午後2時、日光東照宮武徳殿にて開会式及び「日光東照宮平和貢献栄誉作家之証」授与式が行われた。 

始めに主催日光東照宮稲葉久雄宮司より、本展開会宣言と芸術家へのご挨拶がなされた。

子ども作品展の様子(一部抜粋)

赤尾最高顧問、国宝東廻廊展示鑑賞(文化勲章受章者、文化功労者なども出展)

両会場ともに親子連れも多く訪れ、国内第一線級の作品の数々に魅入されていた

稲葉久雄宮司 挨拶(要約)

本日は、一般社団法人藝文協会と私ども日光東照宮との共催で開催する美術展覧会「芸術神来楽展」の開会及び授与式典に、全国各地より大勢の美術家の先生方にご晃来いただきましたこと、誠に有難く厚く御礼申し上げます。

今年令和三年は、私ども日光東照宮の建造物の内、陽明門など八棟が国宝の指定を受け、ちょうど七十年の節目となります。
本展は、神様がお出ましになって芸術を楽しみたいと思われるほどの秀作を集めた展覧会として開催され、泰平の世を只管願われ、芸術の頂点とも評される当宮の国宝社殿に祀られる御祭神家康公の御心をなごめ得る展覧会の名称であると思っております。

それでは、ここに日光東照宮美術展覧会「芸術神来楽展」の開会を宣言させていただきます。
本日は、誠に有難うございます。

日光東照宮 稲葉久雄宮司

日光市教育委員会教育長 齋藤孝雄様 祝辞(要約)

市長の粉川昭一の代理としてご挨拶を申し上げます。 
この度は日光東照宮境内建造物八棟国宝指定70周年記念日光東照宮美術展覧会「芸術神来楽展」が開催されますことを心よりお祝いを申し上げます。 

この展覧会には、徳川家康公の平和思想を具現するという趣旨に沿って、多くの先生方による平和への祈りを込めた多くの作品が展示されていると伺っております。 

また、世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るっており、危機的状況ではございますが、未来の子どもたちのためにも平和で希望に満ち満ちた時代となるよう願いが込められたものと理解しております。 

大変簡単ではございますが、展覧会のご成功を祈念いたしまして祝辞とさせて頂きます。

日光市教育委員会教育長 齋藤孝雄氏

藝文協会最高顧問 赤尾信敏 挨拶(要約)

本年もまた客殿に加えて本殿国宝廻廊を開放して頂き、このような美術展を日光東照宮と共催できますことは私どもにとりまして非常に光栄なことであり、この場をお借りして稲葉宮司様に心から感謝申し上げます。  

2019年末頃に中国武漢で始まったとされる新型コロナは瞬く間に世界中に広がり、未だに収束の見通しが定かでなく、世界中の人々が苦しみの中に置かれています。 

そうした苦しみを癒すものは芸術文化やスポーツではないかと思います。昨夜開幕の東京オリンピック2020のキーワードは「United by Emotion」ですが、芸術の役割も同じではないでしょうか。 

今後とも引き続き皆様のご協力とご支援を賜りますようお願い申し上げて、私のご挨拶とさせていただきます。

藝文協会最高顧問 赤尾信敏

藝文協会東洋芸術顧問 宗像克元 挨拶(要約)

この度は日光東照宮神来楽展が開催できる事に非常に喜んでおります。
様々なジャンルの作品があります。
作品や絵など物を作るうえで大事なのは「愛」です。
作品を好きになり愛がかえってくる。そこから会話が始まります。私はそのような空間を大切にしたいですね。 
それは印刷物では伝わらないですし、生の作品でないと感動は伝わらない。そしてわかりあいたい。
世界のどこに行っても作品を通じて会話したいですね。
お互いに分かり合えれば、感動は生まれます。
感動があれば平和になる。相互理解できるのが藝術だと思います。この度は皆様とお会いできたことに感謝し、お祝いの言葉といたします。

藝文協会東洋芸術顧問 宗像克元

和楽奉納

牧野太紀氏による津軽三味線演奏の様子

百年に一人の天才津軽三味線奏者と謳われた木乃下真市(きのしたしんいち)に師事し、僅か12歳で津軽三味線全国大会ジュニアの部で優勝、本年5月には第39回津軽三味線世界大会で、個人A級準優勝という栄光に輝いた牧野太紀氏によって津軽三味線が演奏された。

牧野太紀氏の津軽三味線の奉納演奏は優れた芸術家を称えた。

「日光東照宮平和貢献栄誉作家之証」、金盃(未来の力展)授与式

授与は稲葉久雄宮司によって執り行われた。

藝文協会代表理事 石川文隆

藝文協会代表理事 石川文隆 挨拶(要約)

本日はコロナ禍にも関わらずご来場頂いた皆様には心より感謝申し上げます。 
これまでも共催日光東照宮のみならず、栃木県、日光市、日光市教育委員会様には多大なる後援協力を賜り、日光東照宮に奉納された美術作品が、教育機関、公共機関に永代貸与される事業も行って参りましたが、コロナが収束しましたら是非このような社会貢献事業を再開したいと思っています。 
最後になりますが、日光東照宮境内建造物八棟国宝指定70周年記念日光東照宮美術展「芸術神来楽展」ならびに「未来の力展」へご出品頂いた美術家の皆様に感謝申し上げます。

将軍着座の間 特別御祈祷

歴代の将軍が御参拝された御本社将軍着座の間にて特別御祈祷終了を以て、「芸術奉納之儀」は幕を下ろした。

将軍着座の間にて特別御祈祷

「未来の力展」

7月25日(日)世界平和芸術金盃授与式

東小詰「未来の力展」展示の様子(一部)

午前11時、国宝東廻廊奥の国宝東小詰を会場とした日光東照宮境内建造物八棟国宝指定70周年記念御神酒アートラベル・ボトル展「未来の力展」では、「世界平和芸術金盃」の授与式が執り行われた。 

初めに主催日光東照宮から稲葉久雄宮司代理、湯澤一郎権宮司の挨拶、その後に赤尾信敏藝文協会最高顧問の挨拶が行われた。
 
湯澤権宮司から優れた芸術家を称え「世界平和芸術金盃」などが授与され、石川文隆藝文協会代表理事の閉会挨拶を以て式典が終了した。

湯澤一郎権宮司 挨拶(要約)

本展開催の意義は、現在のコロナや、これまでの常識を遥かに超える未曾有の自然災害などに苛まれた我が国、または世界全体が抱える憂いを打ち砕かんとする「御神酒」と、明るい「未来」を「みき」という言葉にかけ、開かれた明るい未来を展望するものとなっております。 

今回起用された清酒北海道「男山」は徳川幕府の官用酒(御免酒)として、江戸で暮らす方々に大変人気を博した名酒とされており、御祭神徳川家康公と「男山」を繋ぐ縁を知る貴重な機会となりました。
この「未来の力展」は多くの方々に感動をあたえるものになると確信しております。 

ご協力頂いた美術家皆様の制作活動の1頁となるよう心よりお祈り申し上げます。

日光東照宮湯澤一郎権宮司

藝文協会最高顧問 赤尾信敏挨拶

「世界平和芸術金盃」授与の様子

藝文協会代表理事 石川文隆閉会 挨拶(要約)

藝文協会は子供の情操教育を念頭に、子供たちと美術家とのコラボレーションを開催して参りました。 
文化は、芸術にしろ、音楽にしろ、スポーツにしろ、全て人々に癒しと励みを与えるものだと 
思います。 
オリンピック選手や、甲子園の高校球児などが泥だらけになって頑張っている姿は大きな感動を呼び、それは先生方の作品の感動と同じく非常に重要なことだと思います。
ご参加頂きましたことに心より感謝申し上げます。

藝文協会 石川文隆

展覧会を終えて 日光東照宮稲葉宮司様始め湯澤権宮司様や神職の皆様との初めのお付き合いは東日本大震災の2年後、2013年4月に開催した震災復興祈願「咲笑展(さくら)」から始まりました。
あれから8年もの歳月は当会と日光東照宮様を結ぶ絆を構築しました。

そして、本年の美術展は、新型コロナや豪雨災害を打ち砕くことがテーマとなり、芸術文化の力が如何に必要であるかを身に染みて感じた次第です。 
 この状況が落ち着くことを祈るばかりです。

藝文協会 石川文隆