天下泰平祈願 日本芸術奉納美術展覧会 真秀 開催報告
2015.11.12
日光東照宮400年式年大祭 特別奉納行事
《開催報告》天下泰平祈願 日本芸術奉納美術展覧会 真秀
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展示概要
「日本芸術奉納美術展覧会~真秀」は平成27年10月31日(土)から11月5日(木)までの6日間、日光東照宮東西回廊(国宝)と客殿(丹下健三設計)において開催され、日本芸術界の代表格の美術家を始め国内美術の第一線で活躍されるとともに国際交流活動にも勤しまれる美術家の絵画や書道、彫刻、工芸など合計303点の美術作品が展示された。
本展は日光東照宮400年式年大祭特別奉納行事として、同宮と一般社団法人世界芸術文化交流会(以後:WAC)の共催で実施され、東西回廊と客殿の鑑賞者動員数は、56,398人(日光東照宮調べ)にも及び人気を博した。
開会式
10月31日、午前11時。
三宅島神着木遣り太鼓「三宅」の大音響とともに日光東照宮400年式年大祭特別奉納行事「日本芸術奉納美術展覧会~真秀」開会式が執り行われた。
「三宅」の奏者は栃木県屈指の子供太鼓グループの和太鼓キッズゆりかご(以後:ゆりかご)の子供達。
ゆりかごは、本展開催の同月に全国大会予選を県内で勝ち抜き見事優勝し、翌年春には大分県湯布院において開催される全国大会に臨むことが決定しており、栃木県内では敵無しの強豪グループとして知られる。
「三宅」から演目「道」に変わると、ステージ中央に書家杭迫柏樹氏が登場した。
この日、杭迫氏は日光東照宮400年の式年を祝うとともに、同年に終戦70年を迎えることから、世界平和を祈願する気持ちを込めて席上揮毫を行うことになっていた。
次第に太鼓の音が小さく響き出すと、三尺六尺の紙面に大きく二つの文字が現れた。
「泰平」の二文字である。
まさに徳川幕府が続けた260有余年の天下泰平の世に肖る杭迫氏の渾身の作であった。
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文字について、平和な世を念願する心の書であることをコメントし終えた氏は、ゆりかごの子供達とのコラボレーションに昂揚した想いを述べ、翌年の全国大会での健闘を祈り子供達に激励の意を表し言葉をかけた。
席上揮毫が終了すると、本展共催の一つ日光東照宮稲葉久雄宮司による開会のご挨拶が行われ、その後にWAC代表理事から稲葉宮司に芸術奉納目録が手渡された。
続いて、日本芸術奉納を成した美術家を代表して、独立美術協会会員・日本芸術院会員・文化功労者の奥谷博氏からご挨拶が行われ、美術という分野で平和を祈願することの意義についてコメントを頂戴した。
さらに、後援の県や市、マスコミ各社のご来賓としてご列席頂いた日光市長斎藤文夫様から始まり、地元新聞社下野新聞社専務取締役黒内和男様の順にご祝辞を賜った。
また、同式典に列席した後援元の日光市前田博教育長と栃木放送取締役総務局長蕪木信一様、タイ赤十字名誉役員アヌワット・ブーンニティー氏(以後:アヌワット氏)、タイの水墨画家林廣峰氏(以後:林氏)、WAC東洋芸術顧問宗像克元氏(以後:宗像氏)が司会から紹介され、共催者に成り代わり感謝の意を伝えた。
最後に同展共催の赤尾信敏WAC最高顧問(以後:赤尾最高顧問)のご挨拶にて無事開会式の幕が閉じられた。
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日光東照宮 稲葉久雄宮司
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世界芸術文化交流会 赤尾信敏最高顧問
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洋画家 奥谷 博様(独立美術協会会員)
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日光市 市長 斎藤文夫様
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下野新聞社 専務取締役 黒内和男様
ご祈祷
同展に出展した全ての美術家は同宮400年式年大祭における芸術奉納作家となり、開会式参列の美術家には本殿将軍着座の間にてご祈祷が行われた。
ご祈祷は同宮湯澤一郎禰宜(以後:湯澤禰宜)によって営まれ、同展の成功と美術家の発展が祈願された。
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懇親会
同日夕刻、日光市鬼怒川において同展の懇親会が行われ、日光東照宮の湯澤禰宜もご出席され、スピーチでは日光東照宮と芸術の深い関係についてなどをコメントした。
宴席は、WAC赤尾最高顧問のご挨拶と乾杯を以て始まり、午前の厳粛な開会式とは打って変わって、祝宴は格式張らずに賑わった。
懇親会では改めて、アヌワット氏や林氏、宗像氏のご挨拶があり、何れも日光東照宮という風格のある場所で行われた美術展に祝いの言葉を添えた。
凡そ、二時間の祝宴で出席者の懇親は深まり、その余韻を残しつつ終了した。
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11月1日、午前11時から子供ふれあいアートセッションが日光東照宮客殿前にて行われた。アートセッション
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アートセッションは世界芸術文化交流会が開催する子供に関する美術展では恒例化され、ご存知の方も少なくはないが、ここに改めてアートセッションの進め方を紹介する。
凡そ2メートル四方の模造紙を五枚ほど地面に配置し、美術家と子供混合で10名ほどのグループで一枚の作品を仕上げるというものになる。
今回は、模造紙が五枚であることで五グループとなった。
アートセッションを行う美術家の代表として日本画家の橋本心泉氏から始まりの挨拶があり、その話のなかで共同作業で描く絵画のテーマが「太陽」であることを参加者に告げた。
このテーマになったことは、橋本氏が日本芸術奉納美術展覧会で「太陽」と題する作品を出品したことにも起因するが、「手のひらを太陽に」の歌詞にもあるとおり、生命ということを意識したと氏は言う。
前回(東日本大震災復興美術展覧会~咲笑:平成25年4月開催)、同じ場所で行われたアートセッション同様に、今回も栃木県内にある美術教室「KILALA美術学院」の子供達が、このイベントに参加した。
同教室の子供作品は、客殿のロビーに展示されており、絵画の力量は県内有数であることが作品から窺える。
そうした子供達とのアートセッションは瞬く間に終了し、作品の雰囲気はグループ毎に違い、表現が多様な絵画の特色が現れ、美術が情操を育むに相応しいものであることの検証にも繋がったように思えた。
このアートセッションが本展の人的イベントの最終のものとなった訳だが、天下泰平を祈願する展覧会において子供のエネルギーが加わったことは大きな力となったように参加者は感じたのではないだろうか。
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東回廊展示の様子1
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東回廊展示の様子2
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客殿展示の様子1
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客殿展示の様子2
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西回廊展示の様子
会期
2015年10月31日(土)~11月5日(木)
会場
日光東照宮 客殿 / 東西回廊
主催
日光東照宮 → 日光東照宮ホームページ
一般社団法人世界芸術文化交流会
運営
株式会社フィネス
後援
栃木県 / 日光市 / 日光市観光協会 / 下野新聞社 / 朝日新聞社宇都宮総局 / 読売新聞宇都
宮支局 / 毎日新聞社宇都宮支局 / 産經新聞社宇都宮支局 / 東京新聞宇都宮支局 / 共同新聞者
宇都宮支局 / とちぎテレビ / 栃木放送
協力
タイ赤十字 / 栃木県内子供美術教室など