芸術文化のシルクロード展 開催報告
2010.5.20
日本とタイの芸術家による交流 平安遷都1300年祭
芸術文化のシルクロード展
平城遷都1300年祭に沸く奈良。
当時の都、平城京にはシルクロードの東の終着点として海外から多くの物産品や工芸品、文化や芸術がもたらされた。
一方東京・新橋では、去る5月12日から19日までの8日間、WAC(世界芸術文化交流会)東京支局主催による芸術展が開催された。
平城遷都1300年を期し『シルクロード』をキーワードに、かつてのような交流をふたたび現代に呼び興そうと企画された『芸術文化のシルクロード展』である。
会場となった国際機関日本アセアンセンター
朱印船貿易の時代、山田長政の物語で広く知られるアユタヤ王朝(現タイ王国)と日本との交流をイメージし、アレンジされた本展には、タイ国の美術界において最高峰との呼び声も高い国立シラパコーン大学の教職を務める五名の芸術家(パンヤ・ヴィジンタナサーン氏、アマリット・チュスワン氏、バンチャー・ナンスー氏、パイロイ・ワンボン氏、ソングチャイ・バチャム氏)が来日、33点の作品を出展、日本側からは趣旨に賛同した精鋭美術家140名による作品141点、子ども達による作品31点が展示され美を競った。
会場は国際機関日本アセアンセンター。
東南アジア諸国との連携、協力を図るあらゆる活動を支援する同センターの精神は、本展覧会の趣旨にぴたりと合致する。
地下鉄御成門駅の出口を出てすぐ、日比谷通りに面したロケーションは、出退勤やランチで通りかかるビジネスマンやOLが会場入口パネルに足を止め、お弟子さんや友人、家族を伴って訪れる出展作家等と相まって、来場者は途切れることがなかった。
会場にはシラパコーン大学の教授達も可能な限り常駐し来場者を迎えた。
自らの出展作品について解説したり、気さくに記念撮影に応じるシーンも見られ、訪れる鑑賞者の気分も上々と見られる。
タイからは、WAC会長ソムラップ・キティヤコーン殿下(タイ王族)、同じくWAC常任理事を務め、タイ赤十字名誉役員であるアヌワット・ブーンニティー氏も駆けつけた。
15日(土)には、本展会場に於いて日本の美術家とシラパコーン大学教授陣、日本の子ども達22名によるアートセッションが開催された。
ソムラップ会長によって開会宣言がなされ、シラパコーン大学教授陣を代表してパンヤ氏よりこのイベントに寄せる言葉が述べられた。
子ども達は水墨画家・坂本半酔氏、書道家・内田節子氏それぞれが用意したテーマに沿って、このイベントのために駆けつけた美術家、またタイ教授陣の手ほどきを受けながら創作し、書道家・内堀青華氏による揮毫の後、日タイの芸術家と子ども達全員で『日タイの春』をテーマに絵を描いた。
締め括りは、元校長職にあり版画家である、作農啓一氏によって、この意義ある交流をお褒め頂くスピーチで閉幕した。
サシワット公使参事官に祝辞を頂戴する
展覧会出展作家のパーティーはWACの第5回懇親会を兼ね、16日(日)、箱崎のロイヤルパークホテルに於いて開催された。
日本全国から駆けつけた精鋭美術家(同伴者含め総勢100名以上)とシラパコーン大学の教授陣が会し、来賓に在京タイ大使館より大使代理としてサシワット・ウォンシンサワット公使参事官を迎え、WACからはソムラップ会長、アヌワット常任理事のほか赤尾信敏最高顧問、プッサディ・ナワヴィチット氏(文化アドバイザー)が列席し、まさに日タイ芸術交流の縮図が現出するかたちとなった。
来賓祝辞でサシワット公使参事官は、アユタヤ王朝時代以前から続く日タイ両国の長い交流の歴史と友情を述べ、現代日本のポップカルチャーがタイで人気があることなどを挙げ、芸術分野における両国の交流を祝福し、また赤尾最高顧問(WAC)は挨拶の中で、国際親善における芸術交流の重要性を説き、列席者に歓迎と感謝の意を表した。
懇親会は終始和やかな雰囲気で進行し、小林東雲氏による屏風絵、葛西美枝子氏による詩の朗読のアートパフォーマンスが会場を沸かせ、最後に芸文絹糸金章の授与が行なわれて盛会のうちに幕を閉じた。
アートセッションでは日タイ合同で大作を描き上げた
会場は終始和やかな雰囲気に包まれていた
展覧会に寄せる言葉
ソムラップ・キティヤコーンWAC会長
「朱印船から続く両国交流の歴史は、山田長政のストーリーが語り継がれているように、多くのロマンを包含しています。タイ、日本ともに様々な問題が表面化し、人々が心を痛めている今、当時のような盛んな交流を芸術という分野において、シルクロードというロマンのエッセンスを加えて復興させることは大変意義深く、また面白い試みであると思います。是非多くの方々にご来場いただきたいと思います」
子どもたちとのアートセッション開催挨拶
WAC相談役 パンヤ・ヴィジンタナサーン氏
「純粋な魂から生み出される子どもの絵には、美術を学ぶ者のそれとは違った素晴らしさがあります。そして身につけた知識や技術によって創造される美とも違い、別次元の美がそこにあるのです。ある種、大人のアーティストも子ども達に学び、気付かされることが多いのです。ですから本日はこのイベントを楽しみにして来ました」
懇親会・展覧会パーティーでの挨拶
赤尾信敏WAC最高顧問
「日タイ両国の交流と友好を将来に渡り永続させるためには、心と心の交流を促進させなければなりません。その上で個人の創造性を活かした芸術面での交流は大変重要であり、こうした交流に皆さんが参加されることを歓迎いたします」
会期
2010年5月12日(水)~19日(水)
会場
国際機関日本アセアンセンター1階ホール(東京)
主催
WAC世界芸術文化交流会 東京事務局