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王政復古の大号令~明治維新(1868~2018)150 年記念 「これあらた展」

開催報告

4月1日(日)、お江戸日本橋ぎゃらりー(東京都中央区日本橋3-14-5祥ビル8階)にて「これあらた展2018」のプレオープン開会式が行われた。
主催となる一般社団法人世界芸術文化交流会最高顧問赤尾信敏氏(元在タイ日本国大使/日本アセアンセンター事務総長)による開催趣意を含む挨拶から始まり、全国龍馬社中関東ブロック副ブロック長橋本秀孝氏による幕末志士の真筆などのギャラリートーク、そして最後に墨芸術批評のスペシャリスト「墨」元編集長宗像克元氏による総評と挨拶が行われた。

最高顧問ごあいさつ一部抜粋

この「これあらた展」は、今回で2回目となりまして、昨年8月末から9月中旬にかけて、坂本龍馬没後150年と大政奉還150年を記念して第1回目が行われたんです。
大政奉還の翌年の王政復古の大号令を受けて始まった明治ですから、今回は維新150年ということで開催致します。
この画廊は私ども世界芸術文化交流会が運営しておりまして、オープンから僅か3か月ですが、こういう美術展が開催できるという事は非常に嬉しく思っています。
少し美術と離れた観点からですが、日本は第2次大戦の敗戦と廃墟の中からですね、国民の努力と英知で素晴らしい経済発展を遂げて世界第2の経済大国になった地位をずっと維持してきた訳ですが、90年代から少しおかしくなって参りまして、2000年までが失われた10年と言われて、更に失われた20年になっても、なかなか経済成長がスピードアップしないという状況が続きました。
その間、中国は経済成長を遂げて、2010年には日本の経済規模を抜いて、今や日本の2倍くらいの成長率になっている訳です。
もちろん中国の人口は日本の10倍以上ですから1人あたりにしますと日本のGNPは、中国より上ということです。
しかし、最近は韓国やインド、東南アジア諸国も素晴らしい経済成長を遂げて来ているということで、「うかうかしていると日本もその内またやられてしまうぞ」という風に私は思っています。
経済、政治、社会面では、国民の国会意識が稀薄すぎではないか。或いは日本人は腑抜けになったというような剽悍の意見もあります。
そのような時にですね、幕末から維新にかけて活躍された志士たちのこういう作品に触れて、またその気概に触れるということが私たちにとって非常に良い勉強になるのではないかと思います。
この開催にあたりましては、全国龍馬社中関東ブロック副ブロック長で茨城南龍馬会会長の橋本様と、ご参加の先生方のご協力を得て実現できた事を嬉しく思います。一言だけ世界芸術文化交流会について申しますと、2000年に石川代表が始められたんですが、それから丁度今年で18年になります。
この18年の間、内外において日本国内はもとよりタイを中心にですね、ヨーロッパ、アメリカ(ハワイ)などで美術展を開催し、それを通じて各国の方と交流して文化理解を促進してきました。
最後になりますが、引き続き皆様のご協力を得られることに期待したいと思っております。

橋本秀孝氏ギャラリートーク 一部抜粋

このギャラリーは、東京の中心とされ、江戸時代のきらびやかな元禄から続く日本橋にあります。
お江戸日本橋というところは、商業や金融、物流などの経済の中心地でありましたが、娯楽の中心でもあったんです。
江戸時代は、大体120万人もの人口で、当時のロンドンが70万人くらいですから、世界的には超一流に栄えた町だったんですね。
経済的には、イギリスの産業革命と比較すると敵わなかったんですよね。しかし、先程の赤尾最高顧問のお話にもありましたが、日本人は本当に頑張って、経済大国になりました。
ですから、石川代表の心の籠った呼びかけと、東京の中心にできた素晴らしいギャラリーでこの展覧会を開催するという事は、非常に意味がある事じゃないかと思って、協力しました。
早速ですが、西郷隆盛の書から参ります。
これは、「残菊ノ詩」、これは陶淵明という、中国の魏晋南北朝時代の文学者の詩なんです。
「老圃黄菊を残し、風霜独り禁せず、匹如す陶清節、彭沢管餘の心」と書いてあるんですね。
要するに西郷が明治政府に提案した征韓論の否決で気落ちした時の心情を陶淵明の漢詩に托して書いてるんですね。
西郷隆盛の悔しい思いが文字に現れていると言われている書なんです。
次は、高橋泥舟。「一簾の雨の如し春の花風」と書いてあるんです。丁度、今の季節です。
庭に面した障子を開いて、掛かった簾を巻き上げてみると雨の如く桜吹雪が吹き込んできた、というような意味合いなんです。
非常に人間性が優れた志士であったことが偲ばれる書作だと私は思います。
無血開城を任じられたのですが、徳川慶喜の護衛にあたっていた都合で、義理の弟になる山岡鉄舟にその任務を任せたんです。鉄舟は見事に無血開城の密約を西郷と交わして成功させたんです。
ここにも泥舟の判断の素晴らしさがでていると思うんです。
3番目が山岡鉄舟です。「祥吾を拝し伺候叶う日」と書いてあるんですね。
鉄舟があまり芽が出ない幕臣だったころ、西郷の力によって、宮中に入れた訳です。それで明治維新後、明治天皇の従事になったんです。
そうしたことを思って書いた漢詩なんですね。自分の気持ちがようやく叶ったという素直な心が表現されているんです。
これは勝海舟です。「道を守って生きれば一時孤立する」という書なんです。権力に諂うものは永遠の孤独に落ちるというような意味合いです。
人柄がはっきりと出た書と受け取れますね。柔らかい線ですが、濃い墨が信念の大きさを表していますね。
私が好きな書の一つですね。
隣が坂本龍馬です。読んでみた通り、「天王自ら聖明、制度千古より高し、生前未だ恩に報ぜず、作を留め忠魂補はん」って書いてありますが、「自分は、この日の為に一生懸命に精魂尽くしてきたが、成果はあまりない。しかし自分が亡くなってからも、天皇を見守っていきたいと忠魂を担う」と言う意味なんです。
大きな成果を上げているんですが、龍馬の謙虚さが出ている書なんですね。

宗像氏ごあいさつ

良い話が続いたので、私がここで総評のようなことをせずとも良いと思っていますが、一言申し上げます。
赤尾最高顧問が先ほど石川代表が株式会社フィネスと世界芸術文化交流会の前身を立ち上げてから18年と話されたことを受けて驚いておりまして、実はひょんなことから、ほぼ創業の時代から石川代表とお付合いがあり今日に至っておりまして、「あれから18年なのか」といった胸中なんです。
更に最高顧問のお話の中にあった、失われた10年、20 年という大変な時代を過ごした訳ですが、特に美術界も浮き沈みが激しい中で着実に一歩ずつ歩んで、これだけの仕事をなさっている。正直すごいなと思います。
同時に私も特に書道界に長くおりまして、改めて素直な気持ちで先生方の作品を拝見しましたが、明治維新の書作も素晴らしいのですが、ご自分のポリシーに従って作品を書かれているということに気付いたのです。
新しいムーブメントが、このお江戸日本橋の地にギャラリーという名の城もできましたし、多いに期待しております。
今後ともよろしくお願いします。ありがとうございました。

 

西郷隆盛《条幅 老圃黄菊・・・(残菊ノ詩)》 高橋泥舟《一簾若雨春・・・》
坂本龍馬《天王自ラ聖明・・・(二行書)》 山岡鉄舟《祥吾拝日叶・・・》

 

会期:2018年4月2日(月)~2018年4月27日(金)

会場:お江戸日本橋ぎゃらりー

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