一般社団法人 藝文協会(芸文協会)

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を割愛して藝文協会(芸文協会)としております。

活動内容 activity

日本ロシア国際芸術文化交流展

日露修交150年記念認定事業

日本ロシア国際芸術文化交流展

2006年4月14日(~17日)、日露修好150周年の慶事を記念して、ロシアの古都サンクトペテルブルグにて日本ロシア国際芸術文化交流展が開催されました。本展はゴルバチョフ財団を特別後援に、その他エルミタージュ美術館、サンクトペテルブルグ市政府などの多大な後援の下、日露両国の選抜芸術家の作品282点が出品され、会場にはアレクサンドル3世の王宮としても名高いアニチコフ宮殿を使用、開会式では日本芸術家15名と現地関係者100名が懇談、更に翌15日には同会場にて、“遊び”をテーマにロシアの子供たちとの合同作品が制作されるなど、両国の芸術文化交流における新たな1ページを記す一大イベントとなりました。駆け足ではありますが、次項よりその軌跡についてご報告させていただきます。

エルミタージュ美術館・サンクトペテルブルグにある壮大なスケールの美術館である。小エルミタージュ、エルミタージュ劇場、冬宮の5つの建物が一体となって構成されており、現在本館となっている冬宮はロマノフ朝時代の王宮。1764年にエカテリーナ2世のが収蔵品の収集を始めたのがエルミタージュの起源。約270万点のコレクションが、約1000の部屋に納められている

4/12(水)

成田空港より『日本ロシア国際芸術文化交流展』出展者によるロシア訪問使節一行が一路、ロシアに向かい出発。北のヴェニスと称される美しい都市サンクトペテルブルグ市は夕闇が掛っていた。この季節は白夜となり午後8時を過ぎても夕刻の様相を漂わせている。まだ雪が残るサンクトペテルブルグではあるが激しい寒さを感ずるほどではなかった。

軍隊による歓迎演奏

 

エルミタージュスタジオ内説明会

 

館内に展示された子供達の作品

 

エルミタージュ美術館センター長
クレーエヴァ・イリーナ

   
   

4/13(木)

この度の協力機関である国立エルミタージュ美術館へ表敬訪問する。広場では軍隊の行進演奏にて歓迎を受ける。一般の開館時間は10時30分からであるが、文化交流使節として訪露した本展出展者は関係者扱いとして10時より入館した。観光者の居ない空間は交流使節となる美術家一行の貸切となる。その間、エルミタージュ美術館学芸員による館内説明を受けるなど特別の歓待があった。その後、会議室にてスライドによる美術館が運営する児童スタジオの活動の紹介がなされる。そして教室の壁には子供達の作品が掲示されており、その技術的な精度の高さに驚かされる。スタジオセンター長イリーナ氏の説明では子供達はここで世界中の美術に触れ、海外の文化を理解し学んでいるという。スタジオ内には兜や雛人形など日本美術作品も展示されており、訪露した美術家は、ここの子供たちが正しく世界中の美術を学んでいることを理解したに違いない。

エカテリーナ宮殿・サンクトペテルブルグから南へ約30km、プーシキン市(旧ツァールスコエ・セロー)にある、イタリアの建築家ラストレッリによって建てられた女帝エカテリーナ2世の夏の離宮

アニチコフ宮殿・19世紀・帝政ロシア時代ロマノフ王朝に君臨した皇帝・アレクサンドル3世によって建築された邸宅であり、歴代皇帝も居住したという。ネフスキー大通りに面した景観は美しいことで知られ、肖像画家クライムスコイの『見知らぬ女性』の背景に描かれている。また、2月革命においては発砲事件の舞台になるなど、度々ロシア史の舞台に登場している

   
   

4/14(金)

 

午後5時、前々日に訪露した日本美術家15名と現地招待者凡そ100名により『日本ロシア国際芸術文化交流展』開会式が行われた。会場となったアニチコフ宮殿は帝政ロシア時代ロマノフ王朝19世紀に君臨したアレクサンドル三世が住まわれた王宮であり、古都サンクトペテルブルグの中心に位置している。そのアレクサンドル三世といえば世界一の長さを誇りロシアを東西に横断するシベリア鉄道着工を命じた皇帝としても知られ、宮殿そのものが重要文化財に指定されている。このような国家権威のある重要な場所で開催されたことに、日本美術に対するロシア人の歓迎の意が見て取れた。
凡そ、1000平米の会場は宮殿様式の緻密な彫刻の柱や漆喰の壁によって幾つかの部屋に区分けされており、幅広い重厚な大理石の階段を上り詰めたところから6室を使用、総数282点の日露作品が一堂に介した。開会式には本展の後援となる“日本の春”実行委員会に特別協力される日本国総領事館を初め、サンクトペテルブルグ市政府、アニチコフ宮殿、サンクトペテルブルグ国立アカデミー、プレオブラジェニエ児童スタジオ、エルミタージュ美術館、国際協力協会など、それぞれの機関より開催の祝辞を頂戴致し、日露共に政府関連のバックアップ体制が整えられていたことは、本展にご出展頂いた日露芸術家の素晴らしい作品への敬意と感じられる。初日オープニングは約100名の招待関係者が参加され、3時間程のセレモニーと懇談ディナーが催された。

サンクトペテルブルグ市政府へ文化交流キー贈呈

 

交流展開会のテープカット

 

子供達より作品寄贈

 

来賓一同と共に記念撮影

 

露日協会理事長:エリセーヴァ氏

 

アニチコフ宮殿館長:キセリョーフ・ウラジーミル氏

 

美術アカデミー:チャールキン・アリベルト氏

 

サンクトペテルブルグ市政府:フィローソフォフ・ニコライ氏

 

日本国総領事:城所卓雄閣下

         
         

4/15(土)

早朝、都市の中心から南西に位置するペトロドヴァレェツ-通称“夏の離宮”に向かう。夏の離宮はピョートル大帝の宮殿として創建され、郊外の美しい自然に恵まれた場所である。一行が到着するや否や宮殿入城門前では、楽隊により日本の名曲「ふるさと」や「君が代」が演奏されており、懐かしい曲調に日本美術家一行は感激していた。宮殿外壁の装飾は重厚かつ優美であり、宮殿内部は360°全ての景観が美術品で構成されているかのような煌びやかさで、今は無きロマノフ王朝全盛期の栄華を偲ばせる。夏の離宮最大の名所は豪華で美しい造形の噴水であり、涼しげな水の飛沫と対称的な熱く力強い彫刻が印象的であった。午後3時、アニチコフ宮殿にて子供との合同作品制作会が行われた。先日もご列席頂いた城所総領事を初め、国立エルミタージュ美術館とプレオブラジェニエ児童スタジオ、アニチコフ宮殿など、それぞれの箇所において美術を学ぶ30名以上の子供たちと日本美術家やそこに立ち会った参加者全ての協力により“遊び”をテーマに作品が完成された。この度、参加した各所を代表しエルミタージュ美術館学芸員であるクラフチューナス・ボリス氏より、「このような形式の交流イベントは初めてであり、是非、継続していただきたい」とコメントを頂くなど本展開催の意義深さを改めて感じることができた。

夏の宮殿・宮殿の象徴ともなる豪華な噴水

合同作品制作会風景

完成作品を前にみんなで記念撮影

4/16(日)

早朝、訪露した日本美術家一行は古都サンクトペテルブルグを後に世界遺産の街タリンへ向かう。タリンはバルト三国の1つエストニアの首都である。古い街並みには情緒があり遠く日本を離れる一行には外国であるにも拘わらず懐かしい雰囲気を感じさせるものがあった。そしてナルヴァ川に面する古城ナルヴァ城を見学。この古城は中世の佇まいを醸し出しており、当時の優美な王宮の日々を現在に伝えていた。

4/17(月)

いよいよ世界遺産指定区域である旧市街へ。石畳の古き美しい町並みを過ぎトーンペア城を見学。トーンペア城は彼の有名なエカテリーナ2世の命により創建されており、美を好むエカテリーナ2世の趣向が表れていたように思う。その他、玉葱のような屋根のロシア正教寺院アレクサンドル・ネフスキー協会は、帝政ロシアに統治されていたエストニアの歴史を感じさせるものであった。

4/18(火)

日本美術家一行はフィンランドへ。ヘルシンキ大聖堂やヘルシンキの北に位置する斬新なデザインを施すテンペリアウキオ教会、フィンランドの代表的作曲家シベリウスを記念してつくられたシベリウス公園など多くの文化財に触れ、フィンランドを後に一路帰国の途につく。

タリン旧市街・通称“のっぽのゲルマン”はトーンペア城の一角にある高い塔であり、当時は世界一高い塔として知られていた。高さ150メートルの塔は中世において一際高く聳え立っていたのだろう

 

ナルヴァ城外観・サンクトペテルブルグよりナルヴァ街道を西南西150km、国境を越えた最初の街ナルヴァ。街のランドマークとなるナルヴァ城は美しき流れナルヴァ川の畔に佇む

 

ロシア正教寺院・玉葱型の屋根は赤の広場にある有名な聖ワシリー聖堂同様、ロシア正教のシンボル

 

     
     

“岩の協会”テンペリアウキオ教会内観・外部は岩に覆われ内部は斬新なデザインを施している

トーンペア城・ピンク色の
城壁が印象的

 

 

主 催: WAC (World Art and Culture Exchange・世界芸術文化交流会)
後 援: 在日本ロシア連邦大使館
サンクトペテルブルグ市政府
サンクトペテルブルグ国際協力協会(ロシア・日本友好協会)
サンクトペテルブルグ国立青少年創造宮殿(アニチコフ宮殿)
国立エルミタージュ美術館
ロシア美術アカデミーサンクトペテルブルグ国立絵画彫刻建築大学
模範児童集団 造形美術デザインスタジオ「プレオブラジェニエ」
ロシア連邦外務省付属ロシア国際文化科学協力センター
特別後援: ゴルバチョフ財団
一般社団法人藝文協会(芸文協会)