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〜日本美術の新たなる夜明け〜「これあらた展」開催報告

大政奉還、坂本龍馬没後150年記念(1867-2017)

〜日本美術の新たなる夜明け〜「これあらた展」開催報告

 

「坂本龍馬立位写真」写真提供:高知県立坂本龍馬記念館

開催報告

2017年8月29日(火)~9月16日(土)まで、東京中央区京橋のギャラリーくぼた別館にて「~日本美術の新たな夜明け~これあらた展」が開催された。

同展は、現代美術の書道作品や水墨画、日本画、洋画、彫刻など立体作品96点と維新志士の書道作品真筆14点や龍馬が使用したピストルや姉乙女に送った書簡(日本初とされる新婚旅行の紀行文)のレプリカとのコラボレーションが展開された。

本展開催のテーマは、維新志士が目指した平和と平等の象徴となる真筆などに肖り、現代美術によって平和を目指す~日本美術の新たなる夜明け~となる。約半月に渡る本展には述べ1000人ほどの来場があり、盛況となった。

真筆・レプリカ貸出し協力については「茨城南龍馬会」によるもので、同会会長橋本秀孝氏の幕末維新志士真筆ギャラリー・トークは会期中の9月3日(日)11時から約1時間に及び開催された。

尚、本展終了後、龍馬や南洲、三舟、蒼海などの真筆は、憲政記念館の特別展「幕末明治からのメッセージ」に巡回される。同展は2018年末まで開催される。

主催挨拶(赤尾最高顧問)

一般社団法人世界芸術文化交流会は2000年8月(当時任意団体)に設立され、丁度満18年を迎えたところです。日本国内と海外において毎年美術展を開催し続けております。海外においては、設立当初から関係の深いタイに加えて、イタリア、ロシア、ハワイなど、そして昨年はリトアニアでも開催し、各国の美術家と交流の輪を広げて参りました。世界芸術文化交流会の赤尾と申します。本日のギャラリートークの開催に当たりまして主催者を代表して一言ご挨拶申し上げます。本日は皆様お忙しいところ、「これあらた展」ギャラリートークにお越し下さいまして誠に有難うございます。

内外での美術展の開催に当たりましては、子供たちに対する情操教育推進の一環として、子供達との「ふれあいアートセッション」を例外なく行ってきておりますが、先生方には非常に強い関心と熱意を持って参加して頂いており、意を強くしております。

国内では、特に4年半前に東日本大震災復興支援の一環として行った日光東照宮での美術展が評価され、2年前(2015年)の四百年式年大祭(家康公400回忌)には日光東照宮との共催による美術展の開催、昨年の御鎮座四百年に際して共同企画、そして本年7月には日光東照宮「陽明門」平成の大修理竣功記念奉祝行事となる美術展の共催など、沢山の事業を実施してきました。

これらの美術展を通じて美術家の皆様から多くの作品が奉納されましたが、日光東照宮ではこれら奉納作品の更なる有効活用、地域の方々への還元という方針の下、市内の小中学校、公共施設、福祉施設への永代貸与プロジェクトを本年初めに開始されました。

これまでの事業に対して頂戴しました先生方のご協力、ご支援に感謝申し上げます。

私どもとしましても、美術展と美術誌などの発行を通じて、先生方の作品の内外での紹介を初めとするサポートを続けさせて頂きたいと存じますので、引き続きご支援、ご鞭撻を賜りたくお願い申し上げて、私のご挨拶と致します。

ギャラリー・トーク

皆さんはじめまして。「茨城南龍馬会」の橋本です。

私の家は代々細川家の重臣で、曾祖父の時代にこうした書を集めたんですね。兄弟で書の部分は全部私が受け継ぎまして、教育団体などに貸し出しています。

先生方は書は読めると思いますからその説明は割愛させて頂いて、今年が大政奉還から150年目、そして来年が明治維新から150年目ですから歴史的部分を解説させて頂きます。

今日の日本は全てにおいて志が崩れかけていますね。それを取り戻すために志士達の書の力から汲み取って頂いて「何をしたかでは無くて、何のために生きたか」を観点に見て頂ければいいと思います。

龍馬の「新政府綱領八策」です。要するに船中八策ですね。実は、これは龍馬が書いた訳ではなく、船中で話す龍馬の言葉を長岡謙吉という秘書みたいな方が書いたもので、何通かある中の一通なんですね。京都国立博物館にも同じものがあるんですが、この最後の文章は珍しいんです。(京博には無い部分)ここに木圭(モッケイ)先生とありますが、これは兄のように慕う桂小五郎を指しています。「こんな船中八策できたんだけど、どうでしょうか」というお伺いの文章ですね。

次に「乙女姉さんへの手紙(日本で最初の新婚旅行記)」の複製です。本物は京都国立博物館にあります。これを後で読んでいただければ面白いと思うんですが、お龍さんと共に霧島に登って、逆鉾を抜き差しして遊んだ龍馬のユニークな人間性が現れているんです。

「西郷隆盛 書幅」です。西郷が明治4年に書いたものなんですよ。皆さんご存知と思いますが、要するに武士の世界があまりにも長かったものですからね、朝廷(天王)の衰弱を懸念した薩摩藩士が(天王の)力を取り戻すために一致団結するようなことを書いているんです。

「休官有作」。佐賀藩士の副島種臣の書です。これは三年前まで佐賀県の県立美術館に貸出していました。

ご存知かと思いますが、明治4年に新政府の外務卿に就任後、ペルーのマリア・ルス号事件での清国奴隷監禁を問題視した種臣が国際裁判に訴えて、230余名の奴隷を解放したんです。それがアジアの奴隷解放の始まりなんです。もの凄いことを日本人はやっているんです。

これは勝海舟ですね。龍馬が初めて認めた人物です。勝海舟に影響されて日本で初めて株式会社を作ったと言われています。要するに貿易を主体とした海援隊の前身「亀山社中」です。「竜馬が行く」では、勝海舟と龍馬の出会いは、千葉道場の千葉重太郎(定吉の長男)と龍馬が勝海舟を斬りに行った時と言われていますが、事実と違っていますね。

龍馬は松平春嶽の紹介状によって勝海舟と会っていますから、小説上の逸話ですね。

山岡鉄舟の書は何点か有りますが、これは書簡ですね。鉄舟は剣や槍、禅の達人です。勿論、書も同じです。好人物で人望も厚かった鉄舟も53歳で日暮里の全生庵で座禅しながら亡くなってるんですよ。5000人もが参列し、何人かの弟子はそこで切腹までしてるんです。だから、日本の若い人たちも山岡鉄舟を学べばいいんじゃないかと私は思います。

こちらは高橋泥舟で、山岡鉄舟の義兄ですね。本来、無血開城交渉の役目は泥舟だったのですが、上野に出掛けた慶喜警護のため、義弟の鉄舟に交渉を任せたんですね。

温厚で誠実な人柄の泥舟が適任だったのですが、警護優先となったので、そうせざるを得なかったんですね。

しかし、鉄舟は見事に無血開城を成功させたんですね。

次は坂本龍馬の「天王自らを聖明千古 制度を高し」、「生前恩に報いず、忠魂を補う」と書かれた書です。

要するに朝廷の仕来りや制度はですね、昔から素晴らしく自分達もそれに従いたい。生前に何ひとつ報いることが出来なかったが忠魂は亡くなっても残しておきたいという意味合いなんですね。

これは京都伏見の寺田屋で龍馬を救った拳銃です。長州の高杉晋作からの贈り物ですね。ここにも龍馬の求心力が出ていますね。本物であればいいのですが、今は現存していませんから、レプリカになります。

以上で終わります。ご清聴有り難う御座いました。

総評(書道評論家宗像克元)

こういう書と平成の書画が一体になって展示されることで逆に150年の時間の流れが脈々と繋がっているという実感がありました。やはり美術館、博物館でショーケースに入った先人の書画を見ると「ははー」と頭を下げるような気持ちになってしまうんですが、京橋の割と気楽に入ることが出来る画廊さんで現代の書画と新しい日本を創造した先人達の書画が一緒に見れるということはやはりWACならではの力かと思います。西郷隆盛、副島蒼海、やはり書として別格でした。茨城南龍馬会の橋本会長のトークもプロの域であると感じました。ありがとうございました。

以上、率直な感想を述べさせて頂きました。どうもありがとうございました。

これあらた展出陳の維新志士の真筆

 
坂本龍馬「新政府綱領八策」(代筆:海援隊二代目隊長・長岡謙吉)   坂本龍馬書簡:日本初の新婚旅行先から乙女姉さん宛の手紙(京都国立博物館に真筆の複製を依頼したもの)    

 

 

     
   
西郷隆盛(南洲/武邨吉):書幅「藩兵の天子親兵と南為りて闕下(けっか)に赴くを送る」   副島種臣:有官休作(全紙)  

 

 

     
   
山岡鉄舟:書簡   坂本龍馬:書「天王自聖明制度高千古生前未報恩留作忠魂補」  

 

 

     
   

左:吉田松陰肖像画と辞世の句

右:「松陰を偲ぶ寄書き」《追慕》伊藤博文《水墨》龍馬など

 

左:大塩平八郎「翠巒面々・・・(三行書)」

中:福沢諭吉「世情無歳不呈新・・・(燕山渤海手中の春)」

右:秋月悌次郎「録寉御詩(高き志を記す詩)二行書左:佐久間象山「書幅三行書」

右:橋本左内「甲甲閏八月・・・(三行書)」

 

 

 

     
   
勝海舟:書幅一行書   髙橋泥舟:ニ行書「人無法不方唯天 不容為 為直木氏 子主人書」  
   

 

 

 
   
龍馬の命を救ったピストル(寺田屋事件)  

左:佐久間象山「書幅三行書」

右:橋本左内「甲甲閏八月・・・(三行書)」

 

 

会期:2017.8.29〜9.18

会場:ギャラリーくぼた

 

報告書制作:一般社団法人世界芸術文化交流会

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